砂岩層上部の液状化による変形構造は,北海道東部の白亜紀~古第三紀前弧海盆堆積体である根室層群タービダイト互層中にも観察される.つまり,このような未固結時変形はどの地層にもあるもので,単に見逃されているのである.
貰人(もうらいと)海岸に露出する浜中層の厚層タービダイト互層(写真上)は.一見普通の互層であるが,よく見ると砂岩単層の上面がすべて変形している.写真中はその一部の拡大で,砂岩層の上部がドーム状に変形し,上位の砂岩層中に突入し癒着している.この部分は,場所によっては砂岩層上部から注入したシル状の膨縮注入脈となっており(写真下).泥岩をリップダウンクラスト状に取り込んでいる部分もある.三畳系大沢層のものと同じく,タービダイト砂岩層上半部の液状化によって形成された変形構造と言える.2011年5月撮影.北海道浜中町貰人.
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