私的・北海道地質百選
『洞爺カルデラ』

注)本家・北海道地質百選には,言うまでもなくこの有名な火山域に関連したサイトがたくさん掲載されています.ここに掲載するものは,それらを参考にしてはいますが独立したもので,すべてオリジナルです.


洞爺カルデラ.豊浦町ウィンザーホテル駐車場から.2017 年 3 月撮影.

 壮瞥(そうべつ)町と洞爺湖町にまたがる洞爺(とうや)湖の周辺地域一帯は,『洞爺湖有珠山ジオパーク』として国内で火山をテーマとしたジオパークの代表的なものとなっている.
 その噴火活動史・噴出物層序などに関しては,数えきれないほど多くの研究論文・報告・紹介がある.

 それらについて紹介することは,このサイトのテーマではない.興味ある方は本家・北海道地質百選や当該の論文などを参照していただきたい.
 ここで紹介したいのは,洞爺カルデラとその周辺の西南北海道火山地帯の雄大さを実感できる “風景” である.

 洞爺カルデラを展望できる場所は,有名なサイロ展望台をはじめとして数多い.しかしその多くは湖畔に近い場所にあり,カルデラの全貌を目にすることはけっこう難しい.つまり,距離と俯角と高さが必要である.有珠山ロープウェイ・有珠山頂駅がそういう意味ではベストであるが,洞爺湖はあいにくその東半分しか見えない.


洞爺カルデラのパノラマビュー.
上:壮瞥町オロフレ峠西方から.左端はウィンザーホテル.中島の右奥の鋭い非対称なピークは昆布岳.その右側に遠くニセコ連峰が見えている.中島がなぜか霞んでいるが,理由は不明.2020 年 10 月撮影.
下:豊浦町ウィンザーホテル駐車場から.左奥に雲をかぶった羊蹄山が見える.その右は “ニセ羊蹄” とも呼ばれる尻別岳.右端に昭和新山・有珠山が見えている.2017 年 3 月撮影.

 上写真の上は,カルデラから約 15 km 東のオロフレ峠西方の駐車スペース(標高 680 m)から見た洞爺カルデラである.洞爺湖面標高は 84 m なので比高は 600 m あるが,残念なことに展望は手前の山地などに隠されている.距離が遠いので俯角は小さくなっており,迫力に乏しい.


洞爺湖を見下ろすウィンザー・ホテル(旧エイペックス・ホテル).2007 年 3 月撮影.

 おそらく筆者の知る限りベストな展望場所は,洞爺湖のすぐ西にあるウィンザー・ホテル周辺である(右写真).
 標高は約 600 m (比高 515 m)に過ぎないが,距離が近く(=俯角が大きく),遮るものがほとんど無いので,その展望は素晴らしい(上写真下).羊蹄山などの遠望も傑出している.自家用車で簡単に行けるのもありがたい.


洞爺湖の風景.中島の右に羊蹄山.中島左の観音島との間に見えるのが昆布岳.壮瞥町壮瞥公園から.2020 年 10 月撮影.
洞爺カルデラの中央火口丘(溶岩円頂丘群)・中島.右に見える小島は,観音島・弁天島・饅頭島.右奥に見えるのはオロフレ山.豊浦町ウィンザーホテル駐車場から.2009 年 3 月撮影.

 洞爺カルデラの全体を一望できるという意味では,あまり傑出した場所ではないが,壮瞥町壮瞥公園から見る洞爺湖の風景はなかなかに味がある(右写真).

 洞爺カルデラ(洞爺湖)には,中央部に規模の大きな溶岩円頂丘群(≒中島)が存在する.洞爺湖(≒洞爺カルデラ)の直径が約 11 km,中島の直径は約 3 km,湖底地形から判断するとその基部の直径は約 4.5 km あるので,全体の直径の 40 % に達する規模ということになる.
 近隣の支笏カルデラやクッタラ・カルデラには明確な溶岩円頂丘を欠くように見えるので,洞爺カルデラの大きな特徴であろう.

 それが火山地質学的にどのような意義を持つのかは残念ながら筆者には分からない.しかし,そのジェントルな丸みを帯びた猫の背中のような形状から,少なくとも洞爺カルデラの景観上の大きなポイントとなっているのは確かである(右写真).


既存の指定など

支笏洞爺国立公園

北海道洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパーク(2009 年 8 月認定)


所在地

壮瞥町・洞爺湖町 洞爺湖. 
  撮影地点: ウィンザーホテル駐車場. 壮瞥公園. オロフレ峠西方駐車場.


サイトの状態:


参考文献

(多数・省略)


関連サイト



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