私的・北海道地質百選
『蝦夷層群の厚層タービダイト』

 北海道中軸部の白亜系蝦夷層群の下部層準は,石英粒子に富む粗粒・厚層の砂質タービダイト互層が特徴的である.この部分は古くから “下部蝦夷層群” と呼ばれてきたが,この名称は層序区分名としてあまり適切ではないので,現在は使われないようになってきた.夕張-芦別-富良野地域の “下部蝦夷層群” に相当する部分は,シューパロ川層と再定義されている(Takashima et al., 2004).


尻岸馬内林道の礼振峰砂岩部層の典型的な露頭.2004 年 5 月撮影.
砂岩層中に見られる葉理構造.一部斜交葉理.2004 年 5 月撮影.

 シューパロ川層の砂質タービダイト互層に富んだ部分は『礼振峰(レフレップ)砂岩部層』と呼ばれる.

 礼振峰砂岩部層の典型的な露出としては,伝統的に富良野市奈江川が有名であるが,狭くて暗い沢の中の露頭は苔に覆われている部分が多い.

 奈江川の南方にあたる芦別市尻岸馬内(しりきしまない)林道沿いには,このタービダイト互層の良好な露出があり(右写真),観察に適している.

 タービダイト砂岩層の一部は癒着しており,泥岩の挟みは比較的少なく,薄い.

 砂岩層は厚層で,塊状無構造のものが多いが,一部には平行・斜交葉理を示し(Tb-c)シルト部(Td)を挟む部分もある(右下写真).

 なお,この露頭のタービダイト砂岩はサンプリングして持ち帰り検討してみたが,なぜか炭酸塩鉱物セメントを多量に含み,思ったより風化が激しく分析には不適なものであった.理由は不明である.
 本層準の砂岩化学組成・砕屑性ジルコン年代等の分析には,上に書いた富良野市奈江川露頭が適当である.


タービダイト砂岩層理面に見られるリップルマーク.2004 年 5 月撮影.

 この互層中には,保存の悪いリップルマークなどが見られることがある(右下写真).波長は 15 - 20 cm で,かなり大型のものである.
 写真上部に見えている凹凸は波長・形態が異なっており,フルートキャストあるいはロードキャストの可能性がある.

 しかしこれらの外部堆積構造は,いずれも層面すべり・風化等により保存が悪く,詳細は不明である.

 尻岸馬内林道は立ち入りには森林管理署の許可が必要である.筆者の見学の際(5 月初め)にはまだ残雪が多くて車で入れず,6 km 以上を歩く必要があった.林道は特に上流で荒れており注意が必要である.
 なお尻岸馬内川は,富良野市と芦別市の境界となっている.


既存の指定など

(なし)


所在地

芦別市(/富良野市) 尻岸馬内川.

※ 見学・撮影は,GPS レシーバーをまだ所有していなかった 2004 年のもので,位置は不正確なものである.


サイトの状態:


参考文献

橋本 亘,1955,5万分の1地質図幅『下富良野』および同説明書,北海道開発庁,71 p.

Takashima, R., Kawabe, F., Nishi, H., Moriya, K., Wani, R. and Ando, H., 2004, Geology and stratigraphy of forearc basin sediments in Hokkaido, Japan: Cretaceous environmental events on the Northwest Pacific margin. Cretaceous Research, 25, 365-390.


関連サイト



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