私的・北海道地質百選
『美々のテフラ』
支笏火山の噴出物は,降下軽石堆積物・火砕流堆積物として,苫小牧・千歳地域に膨大な分布面積を持っているが,それを平野地域で手軽に観察できるところは実はそう多くない.火山灰採取場や造成地はいくつかあるが,稼働・造成中は立ち入りの許可を得るのが難しく,採取・造成作業が終了すると植生付加などで現状復帰が行われるのが通常だからである.
この露頭は,採取場や造成地ではなく,比較的安定した状態で支笏火山噴出物が良好に露出する貴重な露頭である(右写真).
ヘッダーのサムネールにあるように,トウキビ畑の周囲にあり,筆者は『美々トウキビ畑露頭』と勝手に呼んでいる.立ち入りと観察には,畑の所有者からの許可が必要である.
露頭下半部が葉理・層理の著しい厚い降下軽石堆積物(Spfa)で,その上に厚さ数mの塊状無構造の軽石流堆積物(Spfl)が乗る(右下写真).
その上位には,降下軽石堆積物や火山灰が何枚か乗っている.軽石はオレンジ色で腐植層を挟み,恵庭岳起源のものを含むと思われるが,筆者にはその詳細は不明である.
軽石流堆積物の下底部やその下位の降下軽石堆積物の中には,直立炭化樹幹が見られることがある(右下写真).しかし,露頭の侵食状況によるので,常時見られるというわけではない.
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