私的・北海道地質百選
『千歳空港南のテフラ』

 この露頭は,千歳空港滑走路のすぐ南側に位置する火山灰採取場で,離陸・着陸する旅客機の窓からも見ることができる.


火山灰採取で出現した露頭のパノラマ写真.最下部に支笏軽石流堆積物があり,その上位に,支笏降下軽石堆積物,さらにローム層を挟んで恵庭岳・樽前山からの降下軽石堆積物が重なっている.腐植層も何枚か見られる.軽石流堆積物の下位はここでは露出しない.2005 年 9 月撮影.

採取場入り口付近の尾根をカットした部分に露出する軽石流堆積物・降下軽石堆積物と,その上位の恵庭岳・樽前山起源の降下軽石堆積物.恵庭岳降下軽石はオレンジ色,樽前降下軽石・火山灰は明灰色の特徴的な色調を示す.降下軽石堆積物は現在の地形面にほぼ平行した分布を示す.2005 年 9 月撮影.

 採取場としては中規模のものであるが,支笏軽石流堆積物(Spfl)およびその上位のテフラをよく観察することができる標式的な露頭である(上写真).

 また採取場入り口付近の切り割では,傾いた地表面にほぼ平行に堆積する上位の恵庭・樽前降下軽石堆積物が,下位のほぼ水平な支笏軽石流堆積物をカットするような産状も観察できる(右写真).
 支笏カルデラが形成されてから,2万数千年を経て恵庭岳や樽前火山の活動が始まっているので,その間の浸食時期を示すものかもしれないが,詳細は不明である.

 なお,この採取場は 2005 - 2006 年頃は許可を得れば立ち入ることができたが,現在は頻繁な造成作業が行われているため,立ち入りはできなくなっている.


既存の指定など

(なし)


所在地

苫小牧市 ペンケナイ川北方.


サイトの状態:


参考文献

地学団体研究会札幌支部,1984,地質あんない 札幌の自然を歩く.北大図書刊行会,265p.


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