私的・北海道地質百選
『貰人海岸の根室層群』
私的・北海道地質百選
『貰人海岸の根室層群』
海岸露頭．西側から見たもので，根室層群は西にゆるく傾斜している．露頭最上部のごつごつした部分がドレライト岩床．2011 年 5 月撮影．
浜中町貰人（もうらいと）海岸には，根室層群浜中層とドレライト岩床が良好に露出する（君波，1999）（ヘッダー・サムネール）．
この付近は，露頭上部の植生に乏しいせいもあり，他の地域ではちょっとお目にかかれないようなスペクタクルな地層景観を形作っている（上写真）．
浜中層の中層理タービダイト砂岩・泥岩互層．いくつかの未固結時変形構造が認められる．2010 年 9 月撮影．
浜中層は中層理～厚層理のタービダイト砂岩・シルト岩互層からなり（写真２），頻繁にスランプ層を挟む．
砂岩は粗粒で，玄武岩類から供給された単斜輝石砕屑粒子を含むものがあり，その場合肉眼ではドレライトと見分けが付き難いものになるので注意が必要である．
ドレライトは浜中層とその上位の厚岸層との境界部に貫入しており，明瞭な急冷縁を持つ．下面は一般に平板であるが，時に凹凸に富み，一部では下位の浜中層に “めり込んだ” 産状を示す部分もある（上写真中央部）．
タービダイト互層中のスランプ層．2012 年 5 月撮影．
著しい褶曲を示すスランプ層．厚さは 1 m 程度である．2012 年 8 月撮影．
スランプ層は，厚さ 1 m 程度で，褶曲・破片・破断型など，多様な構造を示す（上写真）．
また，下位の厚層砂岩層を削剥・破壊する場合もあり，滑りによる（？）伸長変形を受けた砂岩層もある．
貰人の浜中層中の砂岩層には，特異な未固結時変形を被っているもの（“癒着変形層”）があり，その場合スランプ層との区別が難しい場合も多い．
（なし）
浜中町 貰人．
君波和雄，1999，浜中海岸＜古千島海溝に面した陸と海＞．道東の自然を歩く，56-65，北海道大学出版会．
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