私的・北海道地質百選
『仙鳳趾の根室層群』
注)釧路町にも仙鳳趾という地名があり,国土地理院2万5千分の1地形図名や根室層群累層名にまで使われているが,ここで記述するサイトはそれとはまったく別の浜中町の仙鳳趾である.
なお,国土地理院地形図では『せんぽうじ』とフリガナが振られている.それが正しいのかもしれないが,どうも違和感がある.“ウシ” はアイヌ語の place だと思うのだが...ここでは自分の伝統的な記憶に従って『せんぽうし』としておきたい.
浜中町仙鳳趾(せんぽうし)海岸の入り江の東西には,見事な根室層群の地層の露出があり,波の状態さえ良ければ,良好な観察サイトである(上写真).
露出しているのは,根室層群浜中層のタービダイト互層である(右写真).
タービダイト砂岩は厚層・粗粒で,見た目に迫力のある地層露頭となっている.
東側入り江の互層露頭の下部には,厚さ 2 m 程度の “スランプ変形層” が挟在している(右上写真).これは浜中層の特徴岩相である.
この露頭では,単層上面が変形した厚い砂岩部とその上位の乱雑な変形泥岩部からなる(右写真).このような変形構造は未固結時変形であることは疑いないが,表層スランプによるものかどうかは検討の余地がある.
なお長尾ほか(1966)の地質図には,このタービダイト互層の上位にドレライトシートの貫入が描かれているが,入り江の露頭では確認できない.
(なし)
長尾捨一・石山昭三・吉田三郎(1966)5万分の1地質図幅『霧多布』.北海道開発庁,38 p.