私的・北海道地質百選
『夕張の顔』

“夕張の顔”の横顔.2009 年 5 月撮影.

 夕張市街地から岩見沢へ抜ける道を通って“めろん城”の近くまで来ると,右側に大きな地層の露頭が見える(右写真).なんとなく人の横顔のようにも見えるので,正確な由来は不明だが『夕張の顔』と呼ばれている.

“夕張の顔”の正面クローズアップ.2009 年 5 月撮影.
高い位置から夕張の顔の正面を見たもの.2009 年 5 月撮影.
別角度のクローズアップ.2012 年 4 月撮影.

 この地層は,古第三系石狩層群である.露頭は遠望のみ可能(末尾参照)であるが,クローズアップで見ると,上部と下部が厚層理の砂岩層,その間が黒色の泥岩と砂岩の互層からなっていることが分かる(右写真).

 佐々ほか(1964)によると,中央部に見える暗色部(おそらく泥岩層)とその下位が若鍋層(浅海成)の泥岩砂岩互層,露頭上部の厚層砂岩層が幾春別層(河川成)である.

 幾春別層は挟炭層であるが,この露頭では石炭層は挟まれていないように見える.また露頭下方には若鍋層の泥岩・砂岩層とその下位の夕張層が露出しているはずだが,崩れと植生で隠されている.

 めろん城方面に道を登っていくと,夕張の顔を,見上げずにほぼ正面からパースなしで見ることができる(右写真).

 この角度から露頭を望遠レンズで撮影すると,地層の重なりや構造を見ることができる.中央部少し下の泥岩層を境とした若鍋層と幾春別層の岩相の違いがよく分かる.

 なお,このクローズアップで見ると,幾春別層の砂岩互層には,層理面に低角で斜交するすべり面らしいものがあり,それによって層理が食い違ったりクサビ状に尖滅している部分が認められる.この構造の成因はまったく不明で no idea である.

※ 露頭の下部に取り付くことは,露頭下の堰堤と貯水域を回避すれば可能ではあるが,ガレ場の最上部まではかなりの高さがあり,落石の危険性もあるのでお勧めできない.


既存の指定など

(なし)


所在地

夕張市 小松北方.


サイトの状態:


参考文献

佐々保雄・田中啓策・秦 光男,1964,5万分の1地質図幅『夕張』および同説明書.北海道開発庁,184 p.


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