私的・北海道地質百選
『三角山の挟炭層』
夕張市と岩見沢市の境界にある三角山の南西麓に,大きな露頭がある(上写真).この露頭は,石炭の露天掘りを行なった跡である.
露出している地層は,古第三紀始新世(約 5,000 万年前)の夕張層(河川成層)と若鍋(わっかなべ)層(海成層)である(佐々ほか,1964)(右写真).
この露頭では,夕張層は下部の灰色シルト岩と上部の斜交成層粗粒砂岩からなる(右写真).
下部の灰色シルト岩は,ところどころに炭酸塩ノジュールを含んでおり,蛇行河川の氾濫原堆積物と考えられている(保柳ほか,2007).
上部の粗粒砂岩の下底部には,厚さ 30 cm 程度の礫岩がある.これらの堆積物は網状河川の堆積物と考えられている.
粗粒砂岩とシルト岩の境界部に厚さ最大 数十 cm の石炭層が挟在している(右写真下).
この大露頭の下の凹地になっている部分に夕張層石炭層の露頭があったらしいが,すべて採掘されてしまい,現在は見ることはできない.なお,本露頭への立ち入りには,夕張市の許可が必要になっている.
(なし)
保柳康一・川上源太郎・宮坂省吾(2007)地質学のふるさと夕張:石炭形成とその前後の時代の地層.日本地質学会第114年学術大会見学旅行案内書,205-215.
佐々保雄・田中啓策・秦 光男(1964)5万分の1地質図幅『夕張』および同説明書.北海道開発庁,184 p.