私的・北海道地質百選
『夕張岳の山容』

馬追丘陵東麓から見た厳冬期の夕張岳(右).中央はマウント・レースイスキー場.左手奥に見えるのは芦別岳.その間に“大夕張クリッペ”が見えている.2005 年 2 月撮影.

 夕張岳は,神居古潭帯に属する蛇紋岩と蛇紋岩メランジュの山である.その特殊な地質的特性から,夕張岳は,ほかの山とはまったく異なる,荒ぶる神のような独特の山容を持っている(上写真).これはひとえに,『地質が地形を制御している』という好例であろう.蛇紋岩の高山としては岩手県の早池峰山が有名であるが,その山容は夕張岳よりもはるかに優しげである.


シューパロ湖畔から見た早春の夕張岳.中央が夕張岳山頂.2019 年 4 月撮影.
上の写真のクローズアップ.稜線上に見える岩塔状の部分は,蛇紋岩メランジュ内あるいはその周縁部に分布する緑色岩や高圧変成岩の岩体である.2019 年 4 月撮影.
かなやま湖畔展望台から見た夕張岳の背後ビュー.2021 年 10 月撮影.

 夕張岳を見ることのできる範囲は,意外に広い.
 シューパロ湖畔(右写真)がおそらくベストポイントであるが,馬追丘陵東麓(上写真)は言うまでもなく,天気さえ良ければ札幌の近郊(野幌・清田など)や,北海道大学理学部高層棟からもその独特な山容を見ることができる.

 東方(背後?)からの眺望としては,狩勝峠やかなやま湖畔からその西麓が良く見える(右下写真).夕張岳の西麓は,東側から見える東麓部とはかなり異なり,さらに荒々しい雰囲気を持っている.
 北は三笠市桂沢湖,南はむかわ町長和からの山容も面白い.

 なお,地形ソフト・カシミール3Dによる確認では,下北半島の北端部からも見ることができるらしい.


既存の指定など

国指定天然記念物『夕張岳の高山植物群落及び蛇紋岩メランジュ帯』

(注:山容に関する指定ではない)


所在地

夕張市 夕張岳.
 ※撮影地:夕張市シューパロ湖畔,由仁町古山,南富良野町かなやま湖畔.


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参考文献

(なし)


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