蝦夷層群は前弧海盆堆積体で,タービダイト盆で堆積したものを主体とする.しかし夕張-三笠地域の中部層準(三笠層:約 100 Ma)には,浅海層中に河川成層が挟在している.写真上は有名な奔別(ぽんべつ)ルートで観察される河川成礫岩・砂岩と不淘汰シルト岩の互層で,シルト岩中には石炭のレンズ~破片が大量に含まれる(写真下右).安藤ほか(2007)によると,堆積シーケンス基底部にあたる低海水準期の埋積谷堆積物とされている.
礫岩は古期付加体岩石と安山岩質火山岩礫を主体とし,特徴的にアルカリ長石に富む花崗岩礫が含まれる(写真下左).これらの礫種は,西方に存在するジュラ紀渡島帯付加体+白亜紀島弧礼文-樺戸帯+前期白亜紀プルトンからの砕屑物供給を示唆するが,三笠層の上下はいずれもタービダイト相であり,陸域の位置や規模などの実態は必ずしも明らかではない.2015年6月撮影.三笠市奔別川.
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