7.眠る人
長尾巧先生の少しお茶目な(?)お人柄がしのばれるスケッチである.列車の席で眠りこけているのは,その丸眼鏡の風貌から最初は橋本亘さんかと思ったのだが,橋本さんは昭和8年10月の発掘には参加していない.背広にネクタイ姿であり,おそらくこれはもう一人の丸眼鏡,大石助教授であろう.組んでいる手を別に大きく描いているのは,美術スケッチ手法の一つと思われるので,長尾先生はそういうたしなみもお持ちの方だったのだろうか.ノートの記述を見ると,昭和8年10月27日のスケッチで,一行はこの前日に気屯を発ち,10月30日に帰札している.