最初のデジカメ:Canon PowerShot S-10


※ S10 ギャラリー(簡易版) ※

(2008/10/09作成)


・デジカメの世界へ

  最初のデジカメ購入は実に悩みました.それまで使っていた銀塩カメラは,仕事用が PENTAX Z-1,家庭用が PENTAX のなんとかいうどーでもいいコンパクトカメラでした.前者は一眼レフの一応中級機なので性能は良いものでしたが,業務用でいつもリバーサルが入ってるもので,なにしろ写真の数を取れない.後者は画質など論外のものでした.

  で,デジカメの世界が200万画素に突入したのを機会に,ニコンの CoolPix950 を買おうと思ったのですが(1999年春),これが発売後ずっと品薄でぜんぜん手に入らない...しょうがないので,当時安くて画質はそこそこ評判のよかったカシオ QV-2000なんとかという200万画素機を買いにいったのですが...ヨドバシで現物見てそのまま帰ってきました.あまりにもカッコ悪かったので.(^^;
  その後(お金もなくなったので)とりあえずデジカメはあきらめていたのですが,キャノンから200万画素のコンパクトなのが出たというので,結局それを買いました.1999年の年末だったと思います.とりあえずこんなところで,デジカメってどんなものだろうか確かめよう(下注)と.



注)実は業務では,Kodak のデジカメ(型番忘れた:1996年ころのモデル?)と SONY Cybershot Pro(DSC-F700:1998年ころ)を触っていました.前者は60万画素くらいだったのかな? シリアル転送で,写真一枚パソコンへ送るのに5分以上かかる代物でした.SONY のは一眼レフタイプで手動ズームの高級機で,業務用にはもうこれしかないと買ったもの(130万画素?)ですが,肝心の画質がぜんぜんペケ.とにかくどんな場面でもノイズ・偽色出まくりで,おまけにフォーカスがまったくおかしく...買ってしまったものはしょうがないので使いましたが,ぜんぜんでしたね.

・デジカメ初体験



  これは,S-10購入後,『デジカメって,使える!』と実感した最初の記念すべきショットです.場所は,美瑛の有名な“拓真館”の前です.ねじれたダケカンバ?の枝と背後の青空を見事に撮影できました.札幌に帰ってきてこの写真をパソコンに取り込んでモニタで見たとき,それまで長く使ってきた銀塩一眼レフの写真なんぞ目じゃないそのきれいさ(錯覚なんですが :-p)(下注)に本当に驚きました.この瞬間から,PENTAX Z-1 は引き出しの中に消えました.

注)実はこの感想,銀塩ポジフィルムをスライドスキャナで取り込んだ結果との比較,みたいなところもあるんですけどね.私の使っている(いた)のは,定評のある Polaroid Polascan35 なんですが...解像度上げると銀塩の粒子がもろ見えてくるし,ラティチュードは狭くなるし,もっと良いフィルムスキャナ使っていれば多少は違ってくるのかな...? その後試した EPSON GT-9700F の透過ポジスキャンもおんなじようなものだったな.

・PowerShot S10 との日々

  そして,この200万画素コンパクトデジカメとの日々が始まりました.銀塩一眼レフ時代との大きな違いはなんと言っても,『フィルム現像のこと考えずにバシバシ撮れる』ということでした.これはもちろん,フィルム代という経済の問題でもあるんですが,コンパクトフラッシュだってそのころはまだけっこうな値段だったし,むしろ“イマイチの写真はファイル削除するだけ”という心理的なものが大きかったですね.現像所からマウントに入って戻ってきたポジスライドをゴミ箱(現実の^^;)に捨てる時のあのなんともいえない罪悪感...f(^^; そうすると,無意識にシャッターを押す回数は(アマチュアですから)押さえ気味になってしまいます.デジカメになって,この制約が一気にはずれた.この解放感...



  このショットは,十勝平野のどこか.5月の,春というにはまだ早い北海道のこの見事な陰鬱さ...こういう写真が私にもどんどん写せるデジカメというものを,もう手放せなくなってしまいました.
 ちなみにここで PowerShot を駐車場のアスファルトに落としてしまい,マグネシウム合金?のボディの角がぐしゃりと...それ以降何度も落として結局ぼこぼこになりましたが,なんか落としやすいデジカメであった.



  お次は,岩手県盛岡市のどこかの駐車場で撮った“みかげ石に溶け込んだ落ち葉”です.なんということもないマクロショットですが,それまで長い間銀塩一眼レフ使ってきて,“自分にもこういう写真が撮れればな...”とイメージとして思ってきたものが,はじめて形になったという実感でした.



  北海道の一番すばらしい季節,初夏.その雰囲気をせつなく捉えた...かな? f(^^; これはたしか富良野の奥だったと思いますが,クルマ降りて道路端の青い麦畑見ていたら,風がざわざわと...何の気なしにシャッター切ったら,“風がそのまま写って”いました.アマチュアだから,狙って撮るような腕はありませんので,何の気なしに数打てばあたる,ということなんでしょうね.



  これは,当時の(?)キャノン系の絵作りが如実に現れているショット.美瑛拓真館の横の“雪に並ぶ木”です.この不自然にきれい過ぎるくらいの空と雪面の青さ...まあ,記憶色といえばそうなんですが.
 ちなみにこのお気に入りのショット,左からキツネの足跡がぼこぼこと続いていたので,レタッチソフトのクローンブラシでつぶしてあります.まあそういうのはある意味で邪道なんでしょうけど...デジカメになってこういう手を使うようになったのも,『元がデジタルデータだからね』という心理的障壁の低さがあるな.

・200万画素の限界か

  実は PowerShot を手放してから実感できたことなんですが,やはり私のような用途(・志向性)では,200万画素はすこし・かなり物足らない...ということがこの写真見ると良く分かります.



  これは穂別町キャンプ場の横のドブの中の (^^; 枯れ葉たちです.晩秋の早朝だったので,まだ霜に覆われており,実に良い雰囲気でした.この画像では良く分かりませんが,原版見ると,枯葉のエッジや葉脈,霜をまぶした部分など,いたるところに“解像感の不足”が出ています.やっぱり 400 万画素が欲しい...と思い始めたのはこのときか?
  おまけに,周辺の収差がかなりひどいことも,だんだんと気になってきました.ぱっと見にはあまり分からないんですが,よくよく見ると...特にワイド端では『かなり』ひどい.まあ,あのビー玉みたいなレンズだからしょうがないのかも.(^^;
 あとついでですがこの写真,PowerShot でよく言われていた“寒い絵”の特徴が良く出ています.ま,実際に寒かったんですが...なんというか,色のりの薄さというか階調レンジの狭さというか...特に光量の少ない場面でなりやすかったような.

・電池の持ちについて

  実は私が S-10 を選んだのには,『リチウム電池2CR5使用』というのも大きな理由でした.一眼レフ Z-1 も 2CR5 だったので電池も共用できるし,持ちもいいだろうと.しかしこれがデジカメしらずのまったくの誤算でした.特に,露出補正をかけると,なぜかあっというまに電池残量ゼロ表示が出てシャットダウンしてしまうには参りました.おかげで S-10 で露出補正をかけたことがない.:-p とにかく私のバッグの中は予備の 2CR5 でいつもあふれかえっていました.なんか電源管理関係のバグだったんですかね...

・沈没したS-10

  あれこれ気に入らないところはありながらも,まずまずの写真を出してくれる S-10 でしたが...ある日悪夢が.

  仕事で山に入り,釣り用ジャケットの二重になったポケットに入れて調査してたんですが,川の中の露頭をよく見ようとかがんだとき,S-10 はするりとポケットから抜け出て,ぼちゃ,と川にはまっていたのでした.ひっぇ〜...とすぐに水の中から取り上げましたが,言うまでもなく内部は水でびしょびしょ,スイッチを入れてみてもまったく起動する気配はあリませんでした.
  しかし私の頭の中は爽やかでしたね.『これで新しいデジカメが買える〜』(^^; とりあえず CF と電池を外してそのままクルマの中に.CF は,振ると接点の中から水が吹き出してくるほどでした.完全にダメだな...

  と・こ・ろ・が,キャンプ場で一晩明かした次の朝,何の気なしに電池入れてスイッチ入れてみると,S-10 は見事に息を吹き返したのでした.しかし液晶モニタの中は水が入って紫色になってるし,そのうちダメになるだろうと思っているうちに,それも二日ほどで完全に乾き,あとは何事もなかったように動く...いったいどうなってるんでしょか?

  でも結局この事件がきっかけで,S-10 は『一度水に落ちてるからね』というバツイチつきで,某氏のところに \5,000 で嫁いでいきました.


(以上,2003/04/12)(4/14更新)

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