結局,高感度ノイズ
さんざん高感度ノイズで叩かれたサムスンセンサー搭載の K-7 から,“純国産”SONY製CMOS へ...誰もが当然,高感度域におけるノイズが気になるところです.実際のところどうなんでしょうか? それでは逝ってみます.長いですよ.
感度インターバル 0.3EV の設定で,ISO80 から ISO51200 まで低照度下のテスト撮影です.RAW+ モードで RAW(DNG) と JPEG(★★★★)を撮っています.どんな写真かというとこんな感じ.K-7 の時は手持ちでやってしまったので,低感度が手振れしてノイズはともかく画質が良く分かりませんでしたので,今回は三脚とレリーズを使うという,私もそんなの持ってたんだなぁ (^^; というテストになりました.
この写真から,一番分かりやすいところを等倍クロップしてみます.画素数が上がったので等倍だとますますアップできる範囲が限られてきますが...黒い紙の部分で無階調の部分のノイズを,木枠のところで解像度を,外の壁のところでテクスチャのある部分でのノイズの出方を示したいと思います.
まずは, Silkypix でノイズ関係のパラメータをすべてゼロにしたものです.カメラのノイズリダクションの設定は RAW 現像には無効ですので,これが,K-5 のノイズ特性の生に近いところを見ているということになると思います.
なお,低感度の写真がなんとなく眠いのは,タム28-75 ですが,ISO3200 まで全部開放絞りになっているためです.どうせ三脚に載せたんだから Av で f3.5 あたりで撮ればよかった...と思ったのは後の祭り.
上から,ISO80, 100, 125, 160, 200, 250, 320, 400, 500, 640, 800, 1000, 1250, 1600, 2000, 2500, 3200, 4000, 5000, 6400, 8000, 10000, 12800, 16000, 20000, 25600, 32000, 40000, 51200.
ISO80
ISO100
ISO125
ISO160
ISO200
ISO250
ISO320
ISO400
ISO500
ISO640
ISO800
ISO1000
ISO1250
ISO1600
ISO2000
ISO2500
ISO3200
ISO4000
ISO5000
ISO6400
ISO8000
ISO10000
ISO12800
ISO16000
ISO20000
ISO25600
ISO32000
ISO40000
ISO51200
これ見る限り,ISO400 までは明らかにNRは不要だと思います.ISO800 あたりから輝度ノイズが少し出てきますので,弱い NR が必要になるでしょう.そのあと ISO1250 あたりまでは同じような感じですが,ISO1600 になるとさすがに弱い色ノイズが出てきます.ISO3200 を越えるとこの色ノイズが急激に増えてきます.ISO12800になると,だんだんディテールも潰れてきますが,ISO25600 以上は,まあ『写ってることは写ってるよ』という状態でしょう.ISO25600 以上が『拡張感度』とされてるのも当然と思います.
次は,RAW+ でこれらと同時に in-camera で現像されたJPEG(ナチュラルモード)からのクロップです.カメラのノイズリダクションの設定は“AUTO”になっています.さて,K-5 の PRIMEII エンジンはこのノイズをどう潰してくれてるのか.
ISO80
ISO100
ISO125
ISO160
ISO200
ISO250
ISO320
ISO400
ISO500
ISO640
ISO800
ISO1000
ISO1250
ISO1600
ISO2000
ISO2500
ISO3200
ISO4000
ISO5000
ISO6400
ISO8000
ISO10000
ISO12800
ISO16000
ISO20000
ISO25600
ISO32000
ISO40000
ISO51200
ISO800 以上から見てみると,まあいい感じだな,と思います.さすがに ISO1600 を越えるとディテールが消失してきますが,色ノイズは良好に除去されています.この状態が ISO6400 あたりまで続きますが,それを越えると,潰しきれない輝度ノイズが増えてきます.ISO25600 あたりからはディテールはほぼ完全に消失しており,ノイズ除去に伴うブロッチ状の artifact が目立ってきます.しかし色ノイズは ISO51200 に至るまでほとんど見えません.これは頑張っていると言えるでしょうね.
最後に,RAW(DNG) を Lightroom3.2 で現像し,NRのパラメータを,自分なりにこのへんがベストとかな?というところで設定し現像したもの.まあ適当にやってます.
ISO80
ISO100
ISO125
ISO160
ISO200
ISO250
ISO320
ISO400
ISO500
ISO640
ISO800
ISO1000
ISO1250
ISO1600
ISO2000
ISO2500
ISO3200
ISO4000
ISO5000
ISO6400
ISO8000
ISO10000
ISO12800
ISO16000
ISO20000
ISO25600
ISO32000
ISO40000
ISO51200
私の持っている現像ソフトでNRが最も優れている Lightroom3 ですが,ISO6400 を越えるとさすがに輝度ノイズが出てきて,ディテールも消失し始めます.ISO25600 になると,木肌のディテールはほぼ消滅してしまいます.ISO51200 ではほとんどのっぺりになりますが,色ノイズは皆無で,ノイズ除去の artifact も(ほとんど)ありません.このへんは,NRの考え方の違いなんでしょうね.質感は失われているけど,等倍で見ても綺麗,という.
結論ですが,K-5 の高感度ノイズは,ISO25600 が K-7 の ISO6400 にだいたい相当するかな?という気がします.2段分のマージンということですね.低感度側で言うと,ISO1000あたりが K-7 の ISO400 くらいかな? 1.5段分くらい.いずれにせよ,ISO1600 までは現像ソフトのデフォで追加のNR操作は不要,十分常用ということになると思います.
ということで,K-5 の高感度ノイズ,文句なく Pros の項に入りました.K10D 以来かな...?
(2010/10/19)