PENTAX Digital Camera Utility 4


 下に書いた PDCU 4.3X の“バグ”ですが...その後ペンタサポートとやり取りしたり,自分なりに調べているうちに,これはいわゆる(狭い意味での)バグではない...どころか,もっと底深い PDCU4 の問題であることがわかってきました.

 まず,高感度ノイズのテストで撮影した,ISO51200 の DNG を PDCU4 で取り込んだところのスクリーンショットです.デフォルトで,ランダムノイズ(輝度ノイズのこと)除去80,偽色信号(色ノイズのこと)抑制248 というパラメータが自動的にセットされます.これはなかなかよろしい.で,画面に表示される写真も,in-camera JPEG(高感度ノイズAUTO) と同じように,見事にノイズ除去が行われています.素晴らしい.



 ところが...ここから,『何もいじらずに』JPEG で別名保存してみます.その画像を見ると,唖然としてしまいます.こんな風になっているのです.



 画面表示とほぼ同じところをクロップして横750ピクセルにリサイズしたものですが,ノイズの状況が良く分かると思います.そう...『(特に色ノイズが)全然除去されていない!!』んです.
 つまり,当初私は,輝度ノイズのスライダを動かすと色ノイズ除去のパラメータが落ちてしまうバグ,と思っていたのですが,そうではなくて,『PDCU4 ではそもそも高感度ノイズを全然除去できない』というのが事実だったのです.オーマイゴッド.(-_-;

 それでは一体なぜこんなことが起きるんでしょう? それは,PDCU4 の JPEG エンジンの親玉である Silkypix Pro 4 で同じものをフルにノイズ除去してみると分かります.こうなっちゃうんです.



 当たり前ですが,PDCU4 とほとんど同じですね.つまり...PDCU4 に RAW ファイルを読み込んだときに最初に表示される画像は,RAW をデモザイクして各種処理を加えた画像ではなくて,RAW ファイルに埋め込んであるフルサイズの EXIF サムネール画像(=当然 in-camera エンジンで処理されている)だったんです.なんという“誤魔化し”なんでしょうか.
 この『大問題』は,おそらくペンタの RAW 現像ソフトに最初からあったもので, K-5 で ISO25800 とか 51200 とかの高感度撮影が出来るようになって,in-camera エンジンと Silkypix エンジンとの差が大きくなって顕在化したんだと思います.

 ちなみに,RAW 現像ソフトとしてはたいした評価されていない ACDSee Pro3 での現像結果を参考までに上げておきます.



 これでさえも,Silkypix/PDCU の現像結果よりもはるかにマシです.

 これは K-7 の時から言ってきたことですが,要するにメーカ純正RAW現像ソフトのエンジンを外部(Silkypix)に丸投げしてしまっていることの大弊害がますます顕在化してきた,ということでしょう.

 ペンタには,もう一度声を大にして言いたい(やり取り中のサポートにはこれから言いますが ⇒ 言いました).Silkypixエンジンを捨て,in-camera エンジン=PRIMEII を備えた独自の RAW 現像ソフトを開発してユーザに提供すべきである.もしかしたら,PRIMEII には富士通チップのハードウェアロジックが含まれているので,不可能だ,ということなんでしょうか? そうだったら,少なくともエミュレーションすべきだと.

(2010/10/29)


 K-7 の時から cons 入りしてますが,相変わらずダメですね...まあ,カメラ本体のことじゃない(=使わなければいい)というのが救いですが.

 Ver.4.30 になって収差補正に『自動』が付いたのが○ですが,なんでビネットに『自動』がないのか?とか.焦点距離を Exif から読み込んで自動設定してくれる(前からそうだった?)のはいいんですが,ビネット特性はレンズによって全然違うので,これではなんとも.
 ツールパネル(の内容)がウィンドウからはみ出したとき,スクロールバーが出てこないというのは,いまだに直ってません.というか,“仕様”ということなのか.ちなみに手動でパネルの長さをうまく設定してやってもその状態が保存されず,次回起動時にリセットされます.ソフトウェアのユーザインタフェースの作りとして,とんでもない話だと思います.
 ホワイトバランスに,K-7 以来のウリの一つであるはずのCTEは依然としてありません.不思議です.

 おまけに,前バージョンにはなかった(と思う),信じがたいバグが,ノイズリダクションのところに発生しています.写真を読み込んだときに,カラーノイズや輝度ノイズのリダクションパラメータが自動的に最適値?に設定されるのは良いのですが,その状態から輝度ノイズのパラメータを変更すると,色ノイズ除去の“基準値”(?)がずれてしまい,どうやっても色ノイズを最初読み込んだときのように除去することが出来ません.信じがたい,あからさまなバグだと思います.

 ということで,K-7 のときにも指摘しましたが,ペンタには『根性入れ替えてちゃんとしたメーカ純正デジタル現像環境の開発をすぐに開始し,提供してほしい』と思います.

(2010/10/26)

追記: このノイズリダクションのバグは,本日リリースされた PDCU4.31 でも直ってませんでした.ただいまペンタサポートに問い合わせ中.

(2010/10/28)


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