PENTAX Digital Camera Utility 5


 このメーカ純正添付ソフト,K-7 の時からずっと cons 入りしてますが,相変わらずダメ...なんでしょうか?

 まず,K-5/PDCU4 のときに指摘したバグ(というか仕様?)はほとんど改善されていました.例えば,『ツールパネル(の内容)がウィンドウからはみ出したとき,スクロールバーが出てこない』とか.ホワイトバランスにCTEが追加されたとか...しかしまあこれらは瑣末なことと言いますか.本当の改善点は以下のようなことです.

 PDCU4 では高感度の色ノイズをぜんぜん撮りきれない=Silkypix のNRエンジンをそのまま使っている,という flaw を K-5 で指摘しました.これが改善されているのです.まずは,K-3 の ISO51200 サンプルを PDCU5 でノイズ除去した画像を見てください.



 色ノイズは見事に除去されています.これは素晴らしい.輝度ノイズはこの設定では取り切れていませんが,これ以上やるとディテールが消え去ってしまいますから,“輝度ノイズを残してディテールを残す”という方向性としては正しいと思います.
 で,同じ写真を Sikypix 5 で,『色ノイズ除去パラメータを最大』にした結果を下に示します.



 輝度ノイズはともかくとして,色ノイズがぜんぜん取り切れてません.このような結果を残す RAW 現像ソフトは他に見たことがありません.Silkypix 5 の色ノイズ除去エンジンの不十分さに驚いてしまいます.
 と同時にこのことは,PDCU5 がこの悲しいエンジンではなく,(もしかすると)in-camera エンジンそのもの,あるいはそれに近いものを搭載してきたことを意味するわけで,RAW shooter の私としては,非常にうれしいことです.もっとも,うがった見方をすれば,“Silkypix の次期エンジンを先行搭載しただけ”なのかもしれませんが...

 あと,Silkypix エンジンとのちぐはぐさもあります.露出のところにシャドウ補正はあるがハイライト補正がなく,ハイライトは Silkypix そのままの(あまり効きのよくない)調整メニューがあるだけ,といったような.
 それから,ほのかや銀残しのような個性的なカスタムイメージを RAW から実現できるのは in-camera RAW 現像かこの PDCU5 しかないわけで,そういった長所利点はたしかにあると思います.

 ということで,PDCU5 の大幅な改善点は十分評価したいとは思います.しかし,もっさりとした動作速度や使いにくいインタフェースは前のままなので,これで『絶対とにかく金輪際使いたくない』から『あんまり使いたくはないなぁ〜』に変わった程度 (^^; ということになります.Cons から抜け出したことは確かですが,Pros にするわけにもいかず,結局 Neutral という判断です.

(2013/11/14)


K-3の目次へ戻る