高感度ノイズは?


 高感度ノイズの素直さでは定評のあった K-5 の SONY 1600万画素CMOS から画素数が 1.5 倍になった2400万画素CMOSへ...誰もが当然,高感度域におけるノイズが K-5 と比べてどうなのか?気になるところです.実際のところどうなんでしょうか?

 いつものテストですが,感度インターバル 0.3EV の設定で,ISO100 から ISO51200 まで低照度下のテスト撮影です.RAW+ モードで RAW(DNG) と JPEG(★★★)を撮っています.どんな写真かというと,変わり映えもせずこんな感じ.なんか,AWBが?! まあいいか.



 この写真から,一番分かりやすいところ(中央部分)を等倍クロップしてみます.画素数が上がったので等倍だとますますアップできる範囲が限られてきますが...黒い紙の部分で無階調の部分のノイズを,木枠のところで解像度を,外の壁のところでテクスチャのある部分でのノイズの出方を,それぞれ示したいと思います.

 まずは,プレゼンの定石に従って,一気に結論から.




 これは,Lightroom 5.2 でノイズ関係のパラメータをすべてゼロにして現像したもので,感度は ISO6400.上が K-3,下が以前(2010年)撮った K-5 です.クロップ画像のサイズは元画像を切り取ったそのままなので,K-3 の方が写真全体から小さな領域を見ているということになります.それなのに被写体が小さくなっているのは,写真撮影距離が K-5 のときと違っているせいです.他意はありません.
 いずれにせよ,カメラのノイズリダクションの設定は RAW 現像には無効ですので,これが,K-3 のノイズ特性の生に一番近いところを見ているということになると思います.
 なお,なぜ ISO6400 で見ているかというと...私の常用高感度の上限は ISO3200 なので,その1段上を見ておけば間違いないだろうと.ISO12800 以上は,なにかどうしても記録にしておきたいという写真以外はまず絶対使わないと思いますので.

 で,結論ですが『 K-3 の高感度ノイズは,K-5 と同等か,やや劣っている』...あまりに予想通りで,面白くもなんともないのですが,そういうことでした.やや劣っているといっても画素数が増えているわけですから,Cons ということにはしたくありません.ここでは,K-3 の高感度ノイズは(Pros でも Cons でもない)Neutral と判断したいと思います.



 それでは,以下に,各ISOごとのサンプルをずらりと示します.長いですよ.
 まずは,Lightroom 5.2 でノイズ関係のパラメータをすべてゼロにしたものです.

 上から,ISO100, 125, 160, 200, 250, 320, 400, 500, 640, 800, 1000, 1250, 1600, 2000, 2500, 3200, 4000, 5000, 6400, 8000, 10000, 12800, 16000, 20000, 25600, 32000, 40000, 51200.

ISO_100
ISO_125
ISO_160
ISO_200
ISO_250
ISO_320
ISO_400
ISO_500
ISO_640
ISO_800
ISO_1000
ISO_1250
ISO_1600
ISO_2000
ISO_2500
ISO_3200
ISO_4000
ISO_5000
ISO_6400
ISO_8000
ISO_10000
ISO_12800
ISO_16000
ISO_20000
ISO_25600
ISO_32000
ISO_40000
ISO_51200

 これ見る限り,ISO400 までは明らかにNRは不要だと思います.ISO800 あたりから輝度ノイズが少し出てきますので,弱い NR が必要になるでしょう.そのあと ISO1250 あたりまでは同じような感じですが,ISO1600 になるとさすがに弱い色ノイズが出てきます.ISO3200 を越えるとこの色ノイズが急激に増えてきます.ISO12800になると,だんだんディテールも潰れてきますが,ISO25600 以上は,まあ『写ってることは写ってるよ』という状態でしょう.ISO51200 では,ほとんど写真の体をなしていません.
 興味深いことに,このノイズリダクションoff でのノイズの挙動は,K-5 とまったく同じでした.
 次は,RAW+ でこれらと同時に in-camera で現像されたJPEG(ナチュラルモード)からのクロップです.カメラのノイズリダクションの設定は“AUTO”になっています.さて,K-3 の PRIMEIII エンジンはこのノイズをどう潰してくれてるのか.

ISO_100
ISO_125
ISO_160
ISO_200
ISO_250
ISO_320
ISO_400
ISO_500
ISO_640
ISO_800
ISO_1000
ISO_1250
ISO_1600
ISO_2000
ISO_2500
ISO_3200
ISO_4000
ISO_5000
ISO_6400
ISO_8000
ISO_10000
ISO_12800
ISO_16000
ISO_20000
ISO_25600
ISO_32000
ISO_40000
ISO_51200

 ISO800 以上から見てみると,まあいい感じだな,と思います.さすがに ISO1600 を越えるとディテールが消失してきますが,色ノイズは良好に除去されています.この状態が ISO3200 あたりまで続きますが,それを越えると,潰しきれない輝度ノイズが増えてきます.ISO8000 あたりからはディテールはほぼ完全に消失しており,ノイズ除去に伴うブロッチ状の artifact が目立ってきます.ISO20000を越えると色ノイズに起因すると思われる暗色のブロッチも増えてきます.ISO51200 では,ほとんど描写になっていません.このへんは,K-5 に比べると2段くらい悪いかな?と感じます.

 最後に,RAW(DNG) を Lightroom5.2 で現像し,NRのパラメータを,自分なりにこのへんがマキシマムかな?というところで設定し現像したもの.まあ適当にやってます.

ISO_100
ISO_125
ISO_160
ISO_200
ISO_250
ISO_320
ISO_400
ISO_500
ISO_640
ISO_800
ISO_1000
ISO_1250
ISO_1600
ISO_2000
ISO_2500
ISO_3200
ISO_4000
ISO_5000
ISO_6400
ISO_8000
ISO_10000
ISO_12800
ISO_16000
ISO_20000
ISO_25600
ISO_32000
ISO_40000
ISO_51200

 私の持っている現像ソフトでNRが最も優れている Lightroom5 ですが,ISO4000 を越えると何となくノイズ消しの artifact が感じられてきて,ディテールも消失し始めます.ISO12800 になると,木肌のディテールはほぼ消滅してしまいます.ノイズの消されたところと残ったところが斑点状になっていて,いかにもという感じ.ISO51200 ではノイズを消すと絵としての描写も消失してしまうので,このへんが NR の限度かな?

(2013/11/08)


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