合の沢層基底礫岩
合の沢層基底部を近接撮影したもの.明らかに礫岩であるが,なぜかサンプルは採っていない.そういう気力はもはや無かったということか? 黒いスケールの置いてあるところが境界面.その下はかなり破砕された松ヶ平変成岩で,明瞭なスリップ面で接する.さらにその下は露頭を掘り出した時のデブリなので注意.
常々思うところであるが,科学的検討というものは詳細・仔細にやればやるほど精度が上がって『曖昧さが減少していく』ものである(はず).しかし地質学の場合,そういう方向へ進んでいくとむしろ『曖昧さが増大していく』ケースが多い.不思議なことである.もちろんそれは私の経験からの一般論であり,この露頭(と永広・大上による記載)を論じたものではない.彼らの研究は,野外地質記載としては露頭から hand specimen,薄片まで抑えたほぼ完璧なもので,文句のつけようがない.しかしそれでも私には,『野外地質の闇』みたいな手ごわさを感じてしまう.そういうものに関わる研究者はもういないのかも.