謎の石その1-母体層群?珪長質凝灰岩
これは謎すぎる石.私が採取したサンプルではなく,当時(とはいつのことか?)第3講座で母体変成岩の卒論をやっていた杉江裕氏(私の同級生)が,水沢市(現奥州市)正法寺下流の小さな沢の入り口付近で転石として採集したものと記憶している.現物は私の手元にあったが,既に廃棄された.
ちょっと分かりにくいが,この地域にあってもよい花崗岩マイロナイトとかではなく,石英・斜長石斑晶を含んだ珪長質凝灰岩で,おそらく熔結している.薄片観察した記憶では,プレーナイトなどを生じた再結晶度もそれなりの弱変成岩で,例えば古生層や母体変成岩を覆う前期白亜紀火山岩のメンバーとはとても考えられないようなものであった.
母体変成岩は付加体であって,その変形砕屑岩の中にそういうもの(粗粒珪長質火砕岩)があって悪いわけではないが,なんとなくしっくりこない.ましてや,熔結しているとなると,ちょっとあり得ない.母体変成岩分布域中にこのような岩石の報告例は他に皆無であり,小さな転石なのでこの地域に分布する岩体由来とも断定できない.正真正銘,謎の岩石と言える.