私的・北海道地質百選
『興津海岸の河川成層』

トラフ斜交層理を示す砂岩層.2008 年 6 月撮影.
シルト岩中の植物根痕.縦方向の黒色ひも状のものが,炭化した植物根.2008 年 6 月撮影.
シルト岩中の石炭シーム.端部が分岐する特異な形態を示す.2008 年 6 月撮影.

 釧路市興津(おこつ)周辺の海岸には,かつて釧路炭田として採掘された石炭の母層である古第三系始新統浦幌層群の陸成層が良好に露出している(ヘッダー・サムネール).特に,雄別層の露出は見事なものである.

 雄別層は,著しいトラフ斜交層理を示す砂岩(右写真)や薄い炭層を挟むシルト岩,および赤色チャート礫を特徴的に含む礫岩・礫質砂岩からなる.

 七山ほか(1999)によると,興津海岸の雄別層は河川~扇状地で堆積したもので,斜交層理砂岩は,蛇行河川の堆積物と考えられる.

 シルト岩中には,植物根痕が特徴的に認められ(右下写真),蛇行河川の氾濫原の堆積物と考えられる.この岩相中には薄い石炭層も挟まれている(右下写真).

 なお,これらの河川成層を貫いて,日本最大の砂岩脈『春採太郎』が貫入している.


既存の指定など

(なし)


所在地

釧路市 興津海岸.


サイトの状態:


参考文献

七山 太・亀村孝子・金松敏也,1999,釧路海岸<浦幌層群の層序と堆積システム>,道東の自然を歩く,36-41,北海道大学図書刊行会.


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