私的・北海道地質百選
『大黒岩の礫岩』
釧路町老者舞(おしゃまっぷ)の漁港に出ると,漁港の中に大きな丘状の岩がある.大黒岩である(ヘッダー・サムネール).漁港の道路脇にあり,気軽に観察できる典型的な礫岩の露頭として,貴重なものである.
大黒岩を作っているのは礫岩層で(右写真1枚目),層理面はほぼ水平~ゆるく海側に傾斜している.
礫岩は弱く成層し,薄い砂岩レンズを挟む部分がある(右写真2枚目).礫径は小礫~中礫を主体とし,大礫を含み,礫の円磨度は非常に良い.
礫種は花崗岩が特徴的で,そのほかには黒雲母ホルンフェルスや安山岩質火山岩などが認められる(右写真3枚目).
海岸露頭.2011 年 5 月撮影.
老者舞漁港の西側海岸を見ると,緩く海側に傾斜した成層礫岩の露頭が大規模に発達している(右下写真).しかしこの露頭は残念ながら近寄って観察することはできない.
これらの礫岩層は,根室層群上部の昆布森層老者舞部層に属している.Okada et al. (1987) によるとその時代は古第三紀暁新世後期で,知方学の去来牛部層よりも下位のものになる.
(なし)
Okada, H., Yamada, M., Matsuoka, H., Murota, T. and Isobe, T., 1987, Calcareous nannofossils and biostratigraphy of the Upper Cretaceous and Lower Paleogene Nemuro Group, eastern Hokkaido, Japan. Jour. Geol. Soc. Japan, 93, 329-48.