私的・北海道地質百選
『奔幌戸の根室層群』
浜中町奔幌戸(ぽんほろと)の漁港から東の海岸へ出ると,ゆるく傾斜した見事な地層の露頭が見える(上写真).根室層群門静(もんしず)層である(君波,1999).
君波(1990)によると,門静層は砂岩泥岩のタービダイト互層からなり(右写真),上部で厚層の珪長質凝灰岩を特徴的に挟む.
タービダイト砂岩は比較的厚層で,級化し上部が葉理を示すブーマシーケンスを持つ(右写真).
葉理の卓越したタービダイト単層には,コンボリューションも普通に見られる(右下写真).
通常このようなコンボリューション砂岩層は “地震岩(seismite)” とも呼ばれ,地震動のショックによる未固結砂層の液状化に起因するとされている.
凝灰岩を挟む層準付近では,灰色をした通常のタービダイト砂岩と,緑色を帯びた凝灰質砂岩のタービダイト層が共存している(右写真).
筆者自身はその薄片を鏡下で観察したわけではないので,実際のところ見かけ通りそうなのかは未確認であるが,根室前弧海盆の砕屑物供給の特徴を考える上で興味深い.
(なし)
君波和雄,1990,根室帯,釧路-根室地域.日本の地質『北海道地方』,43-45,共立出版.
君波和雄,1999,浜中海岸<古千島海溝に面した陸と海>.道東の自然を歩く,56-65,北海道大学出版会.