私的・北海道地質百選
『貝子沢の貝化石床』
貝子沢化石公園は,乙部市街地から姫川に向かう道路沿いにある(右写真上).
公園に入ると広い草地が広がっており,『第四紀化石露頭層』と書かれた看板が立っているが,ちょっと見には,どこに露頭があるのか分からない.
公園の奥に上っていくと,斜面に沿ってフィールドアスレチックのような木組みの階段が見える.これが化石露頭への入り口である(右写真下).
なお,この木組み階段は,この写真を撮った後,老朽化によって一度は閉鎖されてしまった.しかし,その後(2021年ころ)修理・再建の結果,金属手すりとなって再開されたようである.
木組み階段を上り詰めると,小さなウッドデッキのようになっており,そこに見事な貝化石床の露頭(上写真)と説明パネルがある.
この地層は,角ほか(1970)によると,瀬棚~今金地域の瀬棚層に対比される第四系鶉(うずら)層である.斜面の下部には下位層の館層が不整合に覆われて分布するはずであるが,露出は見られない.
化石床は砂層の中にレンズ状に挟まれており,一部は上に盛り上がったマウンド状になっている.貝化石は,角ほか(1970)によるとエゾタマキガイなどを主体とする.
この貝化石床は,貝殻の多くは離弁しており,いわゆる『掃き寄せ型』の化石床と考えられる.
貝殻のほかに,古期堆積岩や火山岩の円礫を多量に含んでいるのが特徴的である.したがって,“掃き寄せ” の営力はかなり高いエネルギーのもの,例えばストーム波浪などが考えられるが,詳細は不明である.
(なし)
角 靖夫・垣見俊弘・水野篤行,1970,5万分の1地質図幅『江差』および同説明書.北海道開発庁,53 p.