私的・北海道地質百選
『黄金道路の岩盤崩壊』
えりも町から広尾町に抜ける国道336号線は,別名『黄金道路』と呼ばれる.岩石海岸の比高の高い急崖の下を通る国道の建設には莫大な経費がかかり,それが名称の由来となっていると言われる.国道の斜面災害という観点からは,日本海側の229号線と並んで,もっとも注意を要すべき路線であるといえる.
黄金道路には,白亜紀~古第三紀付加体で砂岩泥岩互層を主体とする中の川層群と,それを貫く花崗岩類が分布する.
中の川層群の一部はホルンフェルス化しているが,付加体変形砕屑岩のオリジナルな堆積構造・初期変形構造は残存している(右写真).
ホルンフェルス化の著しい黄金道路えりも町側では,崩壊岩体の規模と岩塊の大きさが大きな岩盤崩壊が発生する傾向があり,出尾根部の崩壊により人的被害も発生している.
2004年1月,ホルンフェルス岩盤中の複数の割れ目に規制されて尾根部が大規模に崩壊した(右写真・下写真左).覆道を破壊し,警戒中の開発局職員1名が殉職している.
一方,ホルンフェルス化の見られない広尾町側では,斜面崩壊は主に斜面上部から発生し,岩質の脆い非変成の砂泥質岩の崩落ブロックの規模が比較的小さく,しかも崩落中に砕片化するため,覆道等の待ち受け対策は必要であるが,大きな被害が発生する危険性は比較的小さい(下写真右).
黄金道路でのこういった危険箇所については,トンネル化による回避措置や斜面対策が進行しており,その結果安全性は確実に高まってきていると言える.
なお 2004 年 1 月の岩盤崩壊現場は,その後の別線トンネル完成で廃道となり,一般の立ち入りは禁止されている.
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えりも町 庶野 ~ 広尾町 フンベ.2004 年 1 月崩壊箇所:
※ GPS 位置は正確なものではない.
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