1950-60 年代に活発化した蝦夷層群の研究で『中蝦夷不整合』が報告されたもう一つの例は,農屋地質図幅における高見地域の露頭である.その露頭自体は高見ダムの建設によってダム湖に沈んでしまい現在は確認できないが,湖畔道沿いに同様な関係を示す露頭が出現している(写真上).
この露頭では,玄武岩枕状溶岩の上位に変形した蝦夷層群の砂岩泥岩互層が載っている.境界は低角でやや滑っているが,大きな変位を持つ断層関係ではない.砂岩泥岩互層は閉じた非調和褶曲を示し,スランプ体と考えられる(写真下).この部分の層準は農屋図幅では “中部蝦夷層群” (額平川層)となっているが厳密には不明で,下部層準である可能性も高い.
陸成・浅海相は認められず,春別川流域で観察される不整合関係とは性格が異なる.海溝ジャンプによってトラップされ前弧海盆基盤となった海洋地殻上に陸源砕屑物からなる斜面堆積体が崩壊してきたことを示唆している.2002年10月撮影.新ひだか町高見ダム湖畔.
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