仕事用1代目デジカメ:CASIO QV-3500EX


 業務用1代目として重宝して使ってきた QV-3500EX ですが...某海岸で仕事中に海水に(ちょっとだけですが)落としたのがたたったのか,メインスイッチがシブシブになってしまい,再生モードからスイッチを切ろうとすると勢い余って記録モードに行って(もちろんキャップつけたままだとレンズエラーになって)しまうとか,いろいろとガタが出てきました.
 QV-3500 の絵に不満は特になかったのですが,ここら辺が潮時かと,2代目業務デジカメ Olympus C-5050 を購入し,QV-3500は晴れて引退ということになりました.長らくご苦労さんでした.

(以上,2003/10/22)


・QV-3500EXというデジカメ

  私がデジカメというものを,趣味用にも仕事用にも本格的に使ってみようと思ったのは 1999 年頃からですが,このころの私の“オピニオンリーダ”は,口の悪いデジカメ評論家?の文月涼さんでした.この方の記事読むと,カシオのデジカメの質実剛健さを非常に良く書いてあるので,仕事用のデジカメはカシオにしようと決めていました.しかし,200万画素時代の QV-2000 があまりにかっこ悪かったので躊躇しているうちに,300万画素機の QV-3000,3500EX が出てきました.これもかっこ悪いことはかっこ悪いけど,(^^; まあまあかな?というレベルだったので,3500EX を発売前から予約注文して購入しました.2001年3月のことだったと思います.




  QV-3500購入後の最初の仕事の最中にふと見上げて撮った一こま.北海道の山奥の沢のカツラの新緑です.で,なんで仕事用のカメラで趣味の風景写真写す?は別として...(^^; 画面右上隅にある陽に透けた葉っぱの葉脈が一本一本リアルに写っているのには驚きました(下写真:元サイズからの切り出し).これは Canon PowerShot S-10の200万画素とはぜんぜん違う...画素数だけではなく,S-10 とはレンズのクォリティもぜんぜん違うわけですが.


  QV-3000/3500EX は,(今と違って)カシオがコンパクトデジカメのハイエンドで他社と競合するトップクラスの画質を誇っていた時代のデジカメだと思います.だからこそ QV-3500EX を業務デジカメとして購入して使うことが出来た.現状を思うと少し寂しいですね.

・画質について

  ということで,QV-3500EX は私の業務用デジカメとして働きはじめました.重くて高い一眼レフを野外でのハードな仕事環境で持ち歩くのはかなり気を使ったものですが,QV-3500EX ならば釣り用ジャケットの内ポケットにぎりぎり入りますので,非常に気楽にバシバシ撮ることが出来るようになりました.もちろんこの300万画素の画質ならば,正式な業務写真として十分すぎるほどのクォリティでした.

・仕事用ならでは?のショット

  QV-3500EX は仕事用デジカメとして,趣味の範囲ではとても行くことの出来ない場所へも付いてくる私のよきパートナーです.そのおかげで,“個人じゃとても撮れない写真”も何枚か...:-p


  この写真は,ヘリ搭乗中に撮った,北海道の深い秋の山肌です.季節にもよると思いますが,次々と眼下に現れて展開していく自然の表現力の豊かさには,仕事そっちのけで (^^; ほんとうに感動してしまいます.
  午後遅く少し傾いた陽を画面下から浴びる植林(エゾマツ?)の山肌と稜線ですが,稜線の向こうは日陰になって深いシャドウになっており,なんだか豪華絢爛な緞帳を見ているような錯覚を覚えてしまいました.

・AWBの傾向

  私は,ホワイトバランスはほとんどオート(AWB)のまま使いますが,QV-3500EX は AWB に“多少の”癖があるデジカメだと思います.

  これが,QV-3500EX の AWB が凶と出た場合です.趣味の写真でこうなると,ほとんどボツにされてしまうわけですが,業務の場合は色転ぼうともとにかくレタッチして使うしかない.要するに,緑の濃い暗い林の中で全体がマゼンタがかった方に“転んで”しまうんですね.“オートにしなければいいじゃん”と言われそうですが,(^^; 解せないのは,一度こうなると,陽光下の被写体にカメラを向けても,そのヘンなホワイトバランスが解除されないことがある...

  話のついでですが,QV-3500EX は自動露出にもクセがあります.マルチパターン測光での話ですが,要するに,どうも適正を外しやすい.アンダーにもオーバ-にも転びやすい傾向があるような.このような傾向は QV-4000 ではまったくお目にかかっていないものなので,3500 固有のキャラクタなのではないかと...“このショットだっ!”と撮ったものをPCに取り込んだ時にそうなっていると,かなり欝になりますよ.(^^;

・やはりノイズリダクション?について

  QV-4000 の“ノイズリダクション”問題は,ネット内各所で有名なものです.もしかすると“ノイズリダクション”という表現は適当ではなくて,『階調の過剰平均化』とすべきなのかもしれませんが...で,この問題は 400万画素機 QV-4000 に固有のもの,つまり同じカシオでも,それ以前の QV-3000, 3500EX などでは見られないもの,というのが通説です.私もずっとそう思ってきました.しかしほんとうにそうなのか...昨年の秋から,少し疑問を持つようになりました.


  上の写真は,ヘリコプターから撮った晩秋のカラマツ林です.天候は霧雨に近く非常に暗い状態でした.シャッター速度は 1/200 sec,絞りは開放 f2.0 です.このもやっとした感じ...QV-4000 の“ノイズリダクション状態”と良く似ています.その状態が開放絞りで出やすいこととも一致しています.
  飛行中のヘリから撮ったものですから,もちろん手ぶれ・流れがありますし,オートフォーカスも間に合わないことがありますので,まあそのせいなのかな...と思ってました.しかし,画面左側のカラマツの間から見えている地面のところを良く見ると...


注)この切り出しは,リサイズなしの原寸のままです.階調は多少レタッチしていますが,それ以外の効果は施していません.

  地面の熊笹?の部分を見ると,ほんの少し横に流れているようですが,フォーカスもきちんと合っていますし,ディテールも 300 万画素機として十分に描写されています.もやっとぼけているのは,カラマツの部分だけでした.さて,これをどう考えれば良いのかは,素人の私には難しいのですが...
 1) QV3500にもQV-4000と同じ(ような)NRアルゴリスムが実装されている.
 2) デジカメ一般の RAW 処理はこういうもの.
 3) たまたまこうなっただけ.(^^;
  根拠はまったくないのですが,某サイトで,Bayer配列のピクセルデータをそのまま表示した画像とそれから生成した JPEG 画像を見て以来,私はなんとなく 2) の可能性を考えています.さて真相はどうなんでしょうか?

・トラブル

  この QV-3500EX では一度大きなトラブルに遭遇しています.ネット掲示板などでも目にすることがありますが,『液晶砂嵐現象』です.私の場合はなぜか,“カメラが温まっているとき”に多かったように思いますが...撮影しようとすると液晶モニタが4色ディザがかかったような変な表示になってカメラの動作が著しくスローダウンする.あるいはそのまま砂嵐状態に移行してカメラ自体がフリーズしてしまう,というものです.スイッチいれ直してもダメだったり(=電池抜くしかない)とか,かなり致命的でした.
  結局,というか当然,カシオサービス行きとなり,基盤交換ということで直って帰ってきました.保証期間内なので無償でしたが,そうでなかったらかなりの費用がかかったでしょうね.それ以来まったく問題は出ていません.他にも同じ症状が出ている人がけっこういるようなので,特定ロットでの“品質不良”の可能性もあるのでは...?


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