QV-4000の解像感

  カシオQV-4000についての,(特にネット上の)さまざまな評価を見て目立つのは『ノイズリダクションによりべったりと解像感の乏しい画質』というものです.この評価はかなり定着しているようで,その中にはもちろん一定の真実が含まれています.

  しかし,QV-4000でたくさんの写真を実際に撮影してみると,それは『普遍的なものではない』というのが実感・結論です.

  下にあげる何枚かの写真は,今まで私が撮影したものから,特に解像感の優れているものをピックアップしたものです.QV-4000なら,これくらいのものはいくらでも撮れます.

  なお,画像はすべて(部分切り出しを含めて),レタッチソフトで長辺500ピクセルに補間縮小してあります.そのため,オリジナルな解像感はある程度失われています.


  * エレガントな花

  * 上の写真からの一部切り出し

  郊外のハーブ園で撮ったエレガントなハーブの花です.天候は曇りでした.花びらの中心部にある雌蕊(?)のところを拡大してみると,毛のような部分の一本一本まで見事に描写されており,ノイズリダクションのかけらも感じられません.F2.0: 1/227 sec.


  * ハーブの花

  * 上の写真からの一部切り出し

  同じくハーブ園で撮影した不思議な色合いのハーブの花です.茎のまわりに生えている細かいうぶ毛が非常に良く描写されています.もっとも,『ノイズリダクション』のページで紹介したように,ノイズリダクションは,ある程度の面積を持った,階調・色調に“高周波成分の少ない”エリア,に適用されるものでしょうから,まあ,当たり前なのかも.F2.8: 1/188 sec.


  * 光る蔦の葉

  * 上の写真からの一部切り出し

  それでは,こんなのはどうでしょう.鈍く輝く蔦の葉です.この質感描写は,お見事.細かな葉脈の部分など,細部描写もきっちりと行われています.開放絞りでシャッター速度はかなり遅いのですが,その影響はここには現れていません.F2.0: 1/160 sec.


  * 彫り物の若芽

  * 上の写真からの一部切り出し

  紅く萌えいずる,なにかの木(ウルシ?)の新芽です.彫り物のような細部の立体感がぎくりとしてしまうほどです.F2.0: 1/248 sec.


  * ルピナス

  * 上の写真からの一部切り出し

  美瑛の丘のルピナスの塔です.このルピナスの花びら?の部分は,上に書いたノイズリダクションの条件をほぼ満たしているように思いますが,その影響はほとんど感じられません.ややのっぺり感があるかな...という気はしますが,“滑らかな描写”という範囲内でしょう.F2.8: 1/227 sec.


  * ヤナギの新芽

  * 上の写真からの一部切り出し

  初春の河岸のヤナギの花です.拡大してみると,花粉の粉の一粒までみごとに写っています.F4.0: 1/400 sec.


結論:

  要するに...QV-4000の“過激な”ノイズリダクションは,ある条件のときにはじめて現れるものなので,そうでない時の画質は400万画素相当の良好なものである,ということでしょう.

  この“ある条件”というのは当初,おそらく『開放に近い絞り(F2.0 - 2.8)』『スローシャッター(1/30 sec 以上)』ということになると考えたのですが,実際にノイズリダクションの影響が強く出た写真を確認してみても,必ずしもそうとばかりは言えないようです.RGBの原色に近い部分に出やすいような感触もありますが,確実な(and/or含めた)条件はどうも良く分かりません.

(以上,2002/08/20)

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