RAW 現像テスト体験


ハイライト・リカバリ

 初めてのデジ一眼 *istD 買って.その意外な白とびのしやすさにえ〜っ,と驚いて以来,このテーマは常に気になっているものです.
 で,今回ノリでテストやっちゃいましたけど,正直言って良く分からんというか,やるんじゃなかったというか...f(^^;

 まずは,とにかく陰影差の大きな写真をということで,天窓から差し込む夏の陽に照らされた今の白い壁紙を RAW+ で撮ってみました.

*テスト画像


 撮影条件は ISO100 であとはどうだったかな? まあ関係ないですね.

*テストした現像ソフト
  ・K10D の in-camera JPEG(RAW同時記録)
  ・PENTAX PhotoLaboratory3
  ・SilkyPix3.0
  ・RAWtherapee2.1

 上の二つはもちろん比較対象ということで,ハイライト補償やダイナミックレンジ拡大といった明示的な機能・パラメータのないものです.

 該当機能は,SilkyPix は『ダイナミックレンジ拡大』,RAWtherapee は『Hilight Recovery』という名称になっています.RAWtherapee は機能の on/off と補償の方式2択しかありません.今回は“輝度”でやってみました.SilkyPix はスライダでパラメータを調整できますが,まあ適当にやってみました.

 それでは結果を.真ん中のカーテンレールの突端飾りの部分を 150%拡大表示したものです.

*各現像ソフトでの結果(150%拡大表示):クリックでオリジナル画像


 in-camera JPEG がもっともハイライト飛びしているのはまあ想定どおりとして,ただ RAW 現像しているだけ?の PPL が意外に粘っているのは予想外でした.そう言われてみると,どっかのデジ一眼比較サイトなんかでも K10D の RAW でのダイナミックレンジはかなり広いといわれてましたもんね...これだったらもういいかな?なんて思いましたが,それではテストにならないので気を取り直して.
 SilkyPix のダイナミックレンジ拡大は正直言ってあまりいただけません.ハイライト側の階調がなんか平板になってしまってるし,飾りのハイライト部分のエッジがまったく不自然です.
 素晴らしかったのは,RAWtherepee.全体に自然な感じで階調が出ているし,飾りの先端部のハイライトも見事に描写されています.左下のカーテンのハイライト部が飛ばずに粘っているのは RAWtherapee だけでした.

 ということで結論としては,白とびというかハイライト側の粘りを気にするんだったら RAW 撮影しかありませんね.で,現像ソフトはなんと言っても自然なのは RAWtherapee.これでフリーなんだから...SilkyPix 立場なし.:-p

(以上,2007/07/02)


K10D 編

 以前,*istD の RAW ファイルを使って,いくつかの現像ソフトの比較をしてみました.あれから年月がたち,カメラも千万画素 K10D になりましたので,現時点で K10D の RAW を扱えるソフトを使って,同じような比較をしてみたい...というのがこの記事の目的です.

 とはいえ...普段 JPEG 撮りの私なので,深い追い込みや洞察は不可能.すべてインストール状態のデフォ設定による現像比較にしかなりません.そのへんはご容赦.

 まずはテスト画像です.まああれこれ考えると何もできないので,タム70-300 のワイド端70mmで,居間のレースカーテンとその外の景色を RAW+JPEG同時記録で撮ってみました.なんで定番タム28-75使わなかったかというと...単にそのとき付いてたレンズで撮っただけ.(^^; シャッターは 1/160s,絞りは f5.6 でオートフォーカスです.

*テスト画像


 ご覧のように,けっこう解像度や階調表現が要求されているシーンかな?と思います.いきあたりばったりですけど.

 次に,使用した現像ソフトです.定番のもありますが,*istD の時とはだいぶメンツが変わりました.

*テストした現像ソフト
  ・K10D の in-camera JPEG(RAW同時記録)
  ・Picasa2
  ・ULEAD PhotoImpact12
  ・SilkyPix3.0
  ・Adobe PhotoshopCS2(Camera Raw3.7)
  ・Faststone Viewer3.2
  ・RAWtherapee2.1
  ・PENTAX PhotoLaboratory3
  ・Digital Darkroom1.5

 ただしこれらの現像ソフト,必ずしも全部が K10D RAW に全面対応しているわけではなくて,Picasa, Faststone, RAWtherapee の3つでは,デフォルトでの露光パラメータの取得・設定がヘンで,そのままだとかなりの露出オーバーになっています.極力他のソフトと同じになるように調整して現像していますが,Picasa ではなんと調整パラメータがありません.(@_@) しょうがないので,現像後,他のレタッチソフトで明るさを落としています.つまり,露出オーバー現像で飛んだところはそのままです.使えませんね,これは.(^^;

 それでは,各現像の結果を並べてみます.*istD のときみたいにクロップして並べようかとも思ったんですが,拡大表示は画像を拡大しなくてはいけないし...結局,レタッチソフトに読み込んだ表示をそのままキャプチャしたものです.表示が 1:1 以上ですから,これでも大丈夫なはず.

 まずは,ピクセル等倍(1:1)表示です.順番は左上が同時記録のJPEG で,そこから上のソフトの順番に右→下へ並んでいます.ソフトは,ウィンドウのタイトルバーを見てください.画像をクリックすると,縮小ではないオリジナルが別ウィンドウで開きます.

*各現像ソフトでの結果(100%等倍表示):クリックでオリジナル画像


 どうなんでしょうね...この範囲では,色調やコントラストを除くと,あまり違いがないように見えます.Picasa は真ん中左の緑色のハイライトが既に飛んでいますが,この理由は上述のとおり.PhotoImpact は良く見ると 1:1 表示で既にざらついて見えてます.

 次に,4倍拡大表示.こんなの“等倍厨”どころか,拡大して見てどうする?とも思いますが,(^^; ここまで拡大して見ると各ソフトの違いがやっと見えてきます.

*各現像ソフトでの結果(400%拡大表示):クリックでオリジナル画像


 まず目立つのは,PhotoLaboratory の良く言えばスムーズさというか,ぬるりっとした感じですね.同時記録 JPEG も同じような感じですが,同エンジンなんだから当たり前? ちょっとディテール潰しすぎ?という感じもします.
 その次にスムースなのが,SilkyPix, Photoshop, Faststone でしょうか.Picasa はけっこうディテールが出ています.明るさ調整できないのが実に惜しい.
 RAWtherapee, Digital Darkroom は似たような傾向で,背景のノイズも程よく残り,エッジが立っているような気がしますが,要するにUSM効いているような気も.特に RAWtherapee はコントラストも高いし,明らかにシャープネスが多めですね.
 論外は,PhotoImpact.なんか,ノイズが残っているというよりも,そもそも RAW の demosaic を分かっていない,という感じがします.これを現像ソフトとして使いたいという人はまずいないでしょうね...

 ということで結論書くと,スムースとディテールの狭間の無難なところで SilkyPix か Photoshop ですかね...今回は RawShooter の血を受け継いだ? Lightroom がどんなものかテストできなかったのが惜しいですが.

注)その後 Aodbe Lightroom を購入して現像してみましたが,わずかな色合いの違いを除くと,ディテールの出方等はまったく同じ傾向でした.当たり前ですが.(2007/06/30)

余計な一言: でも岡目八目で見ると,in-camera JPEG にちょこっとシャープネス足しとけば,それで済むような気も.(^^; そうなると RAW 現像のメリットというのは,私の場合“ハイライト補償”,だけのような.これについては,また別の機会にテストしてみたいと思います.

(以上,2007/06/26)


*istD 編

 私は *istD 購入してからずっと,撮影はすべてカメラ出し(in-camera)の JPEG で行っています.その一番の理由は,*istD の RAW ファイルサイズの大きさ(14 MB)と書き込みの遅さ(10秒以上 ^^;)でしょう.後者は CF カードをいくら高速のものにしても変わりません.カメラ自体にボトルネックがあるので.あと,512MB の CF カードにたった 30 枚ちょっとですから,私の撮影枚数ではかなりきつい.PC保存という点でも,いくら大容量 HDD とバックアップ用の DVD-RAM を導入したとして,大きなデメリットであることには変わりありません.

 *istD 系の in-camera JPEG のクォリティについては DPReview はじめいろいろなところで言われていますが,なにしろ一番簡単なので.:-p 何百枚もの撮影から帰ってきたあと,また何時間もかけて RAW 現像するなんてぞっとします.まあ,JPEG 画質の不満点はレタッチで補えばいいやということでもあります.ビネット・色収差・ノイズ削減も全部,外部ソフトでできるわけなので...し・か・し,RAW 現像は,ソフト好きの私としては,常に気になるテーマでもあります.で...RAW 撮りもしてないのに,SilkyPix Developer Studio 2 買っちゃいました.なんでだ.(^^;

 というわけで,手持ちのいくつかの RAW 現像ソフトと in-camera JPEG および RAW に埋め込まれているフルサイズのJPEGサムネールを JPEG Analyzer 1.40 で抽出し,それらの画質を簡単にチェックしてみました.TVの時間表を JPEG と RAW で撮影して,その画質を比較します.夜の居間なので,たまたま ISO800 になってますが,結果としてノイズ処理の状況を見るにはちょうどよかったです.

 まずは写真全体の縮小画像.蛍光灯下でのオートカラーバランスは *istD の特徴ですごいですが,あえてそのままにしてあります.フォーカスは『刑事コロンボ』のところに合わせています.絞りはほぼ開放,シャッター速度は 1/100 です.手振れはほぼ無いとは思いますが,完全に無いかどうかは? (^^;



 次に,JPEG と RAW で撮影したものからのクロップをあげます.RAW 現像は,純正 Photo Laboratory 2.1,PhotoshopCS2 Camera RAW 3.3,それに SilkyPix Developer Studio 2.0.12.1,および Ulead PhotoImpact 11 です.現像設定はそれぞれデフォールトですが,Camera Raw のみ,他とあまりに違いすぎたのでノイズ削減の設定を少し上げています.なお,細部を見やすくするため,クロップ画像を 200% にリサイズしています.JPEG と RAW はもちろん別々の写真ですので,完全に同条件とは言えませんが.

 in-camera JPEG,サムネールJPEG については,PhotoshopCS2 のスマートシャープをかけたものを参考までに上げておきます.Camera RAW, PhotoImpact 11 についてはノイズが結構目立つので,これも参考までに NeatImage 5.25 でノイズリダクションかけたものを.



 さてこれをどう見るか...正直言って素人の私には難しい点も多いのですが;

in-camera JPEG: たしかにシャープさには欠けている.しかし,ノイズの出方もそうだが,妙な artifact もほとんどなく,けっこう素直な感じで悪くない.スマートシャープをかけると,多少ノイズが浮いてくる.シャープさはやはり足りない気もするが,左右方向にわずかに手振れしているような?

サムネール JPEG: 基本的な傾向は in-camera JPEG とほぼ同じで...こんなのが RAW にサムネールとして埋め込まれているなんて,なんだかもったいないというか,なんていうか,複雑な気持ち.(^^;

PhotoLaboratory: これはイカンですね.(^^; 字の間を見ると妙にのっぺりとしていて,一方,文字のエッジにはぞわぞわと artifact が...明らかにノイズリダクションのかけ過ぎだと思います.現像パラメータにはノイズリダクションの量を設定するところは無いので,『こうしかならない』ということは,ますます悪い.

SilkyPix: すばらしいです.シャープさ,ノイズの出方,ほぼ文句のつけようが無い.シャープに見えるにもかかわらず artifact もほとんどありません.

Camera RAW: 全体に描写がナチュラルで悪くないんですが,このノイズの出方はどうしたもんか.デフォールト設定ではもっとすさまじく,これはノイズリダクションの量を多少調整しています.そうすると,エッジが少しソフトになる...これ以上やるとシャープさが失われるので,ためしに NeatImage でやってみると...まあまあだけど,SilkyPix とは段違いかな.

PhotoImpact 11: これも全体の描写は悪くないんだけど,Camera RAW と同じ傾向のこのノイズはどうしたもんか.ノイズ削減の設定も試してみましたが,かけていくと PhotoLaboratory 見たいな感じになり,いまいちどころではない結果でした.ためしに NeatImage でやってみると...ヌメヌメ.:-p まあ素直なノイズだと言えばそうなんだけどね.

 ということで結論.『もし RAW で撮ることがあったら,迷わず SilkyPix で現像する』.それで,当面使う予定も無いのに,\16,000 払ったのでした.:-p

 ただまあ,このチェックで再確認したのは,レタッチ前提ならば in-camera JPEG も悪くないということでした.もっとひどいのかと思っていたので.これだったら当面,上記のデメリット抱えた上で RAW 撮りにわざわざ移行する必要も無いな,というのが結論.

(以上,2006/01/21)(2006/02/25修正追加)

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 新機種 K100D 用の RAW 現像ツール(PPL: PENTAX Photo Laboratory)が SilkyPix の現像エンジンを搭載して Ver.3 になりましたが,なんと昨日,従来機種ユーザ用の無料アップデートがアップされました.当初は希望者に有償アップデートという噂が流れていたので,これは嬉しいです.なにしろレンズ歪み・ビネット・色収差補正つきですからね...

 で,さっそく試してみました.方法は下の比較テストと同じですが,これまでに新たに試してみた,Picasa2, Rawshooter Essentials も加えてあります.また,結果は同じだと思いますが,PPB: PENTAX Photo Browser 3 で新たに加えられた『RAWからのJPEG抽出機能』で取り出した JPEG も加えてあります.
 現像結果にシャープネスやノイズ除去のレタッチを加えたものは(あんまり意味ないので ^^;)削除しました.



 さてこれをどう見るか...繰り返しますが,正直言って素人の私には難しい.

Picasa 2: ノイズの傾向とかは PhotoImpact に良く似ている...まさかおんなじエンジンなんじゃないんだろうな.(^^; シャープさは全然足りない.Picasa の RAW 現像は設定とかまったくないので,まあこんなもんか.

Rawshooter: ノイズはうまく抑えられていると思うけど,なんと言ってもシャープさが全然.まあナチュラルと言えばそういう感じ.

Photo Laboratory 3: PPL2 に比べると,ノイズ処理は改善されている.シャープさも段違い.でも,なんか artifact が目立ってしまってるような.純正ツールなんで,もちろんカメラののシャープ設定(私の場合 hard)が反映されているんだと思いますが,それにしても...ちなみに現像パラメータでシャープネスを下げると,今度はボケボケに...うーむ.

PPB による抽出 JPEG: まあ,こんなもんでしょう.ノーコメント.(^^;

 ということで結論.『もし RAW で撮ることがあったら,やっぱり迷わず SilkyPix で現像する』.SilkyPix は今度 Ver.3 になりますよね.Ver.2 からのバージョンアップ代は \8,000 だとか...でもやっぱり買っちゃうんだろうな.:-p

 ただまあ,K100D の各種レビュー・作例見ると,特に in-camera JPEG の画質はかなり向上しているようなので,仮に圧縮 RAW 搭載した K10D 出ても結局 JPEG 撮りで済ませるんだろうなとは思うんだけど.

(以上,2006/08/09)

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 上で書いた;
>ちなみに現像パラメータでシャープネスを下げると

 やっぱり気になるので,PPL3 の現像パラメータで,シャープを +2(*istDでの設定を反映)から 0 に下げて現像してみました.



 さてこれをどう見るか...たしかにシャープネスの artifact はほとんどなくなったけど,これだったら in-camera JPEG となにも変わらないような.うーむ...SilkyPix エンジンのシャープ処理がアレなのか,PPL3 での“ペンタ味付け”がアレなのか...? よう分からん.f(^^;

 ちなみに PPL2.1 の現像はデフォそのままなので,カメラ設定(sharp:hard)がそのまま反映されているんだと思います.

(以上,2006/08/09)


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