Photoshop のハイライトシャドウ機能について
これは,他のページにも既にちょぼちょぼと書いているものなんですが...最近ますますハマりつつあるので,独立したコンテンツとしてまとめていこうと思うようになりました.
で,何の話かというと,Adobe Photoshop CS/CS2, Elments 3.0/4.0 に搭載されている画像補正機能『ハイライト・シャドウ』のことです.
注)私は Photoshop 5.5 までは持っていたんですが,6/7 はスキップしているので,どこからこの機能が搭載されているのか正確には分かりません.Elements の場合は 2.0 にはなくて,3.0 からだったので,やっぱり CS からなんではないかと思ってるのですが.
ちなみに Elements 2.0 にもハイライトとシャドウを個別に補正する機能がありますが,これはぜんぜん別物で,レベル調整あるいはトーンカーブ調整みたいなものかと.
この機能,上の注にも書いたように,要するにレベル調整みたいなものじゃん,と思うと,これがぜんぜん違う.
まずはその分かりやすい例.オリジナルはこんな感じです.空と雲が見えるように写れば丘が真っ黒.(^^;
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これをレベル調整で追い込んでみても,(私の腕では?)下のようにしかなりません.丘の草の緑が見えるようにすると,空の白い雲はやはり飛び気味というか,明るすぎ.
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トーンカーブをしつこくいじればもう少しなんとかなるのかもしれないけど,ここが素人の限界.
そこで“ハイライト・シャドウ”の登場です.これは Elements 3.0 なので,設定パラメータが少なく,分かりやすいように思いっきり補正かけているので,ちょっと不自然な結果にはなりました.
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でも,なんと言うか,この人工的とはいえ見事に(見かけ上)拡張されたダイナミックレンジ...美瑛の丘の雰囲気そのままで,なんともハマりそうです.一体,どんなアルゴリスムなんでしょうか.単にトーンカーブ細かに調整,だけではこうはならないような.もっとも Elements 3 の場合,やりすぎるとシャドウとハイライト領域の境界に明らかな“ハロー”が見えてきます.CS/CS2 では“半径”パラメータを調整することによってかなりの程度回避できますが.
次の例.空に立つモミジの鮮やかな黄葉を12mmワイドで捉えた...つもりだったんですが,黄葉はアンダーでどす黒く,空はホワイトバランス狂ったのか黄色く(RGB的には,緑っぽくですが)なってしまいました.
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うーむ...まあこれはこれで雰囲気だけどな.(-_-; で CS2 でハイライトシャドウです.あ,カラーバランスは別に補正してますけど.
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まあ,アレですよね...これは不自然領域ぎりぎりをかすったものです.見る人によっては,不自然な写真でとても見られたものではないでしょうね.
でも...このシャッター切ったときの自分の眼に見えていた黄葉のイメージ思い出してみると,こうなんですよ.(^^; 下から見上げて,うわ〜...鮮やかだ,と.要するに,人間の『脳内最適化・補完』って,そういうもんなんじゃないかと.
そういう意味で,Photoshop のハイライト・シャドウ機能って,不自然な結果を“作る”ものなんじゃなくて,すごく人間的なものを意図して作られたものじゃないかと思うんですよね.
お次は,とっても自然な効果が得られた例.たまたま見つけた山奥の廃校です.誰もいない感じを狙って,12mm ワイドで下の草地から入れてみました.
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なかなかいい感じなんですが...すこーし,シャッター時の自分のイメージと違うような.で,CS2 のハイライトシャドウを控えめにかけてみました.これは,言われないとレタッチしたものだとは誰も気づかないでしょうね.
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後ろの空の部分が特に違うのが分かると思います.なんというか,後ろが暗くざわめいていて,手前が少し明るめのイメージだったもので.
で,CS2 では補正のパラメータが Elements 3 よりかなり多くて,“階調の幅”と“半径”というのをハイライト・シャドウごとに設定できます.これが要するになんなのか私には良く分かりませんが...いじってやると,効果を保ったまま,その不自然さをかなりの程度回避できます.
こういう,自分の意図通り?に写真を補正できるハイライト・シャドウ機能...私は,“アドビびいき”じゃまったくないのですが,素晴らしいと思います.
これも,比較的自然な効果の例.某駐車場から撮った,まるで飛行の窓から?と錯覚するばかりの深い空と海です.
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でも,レンズがタム24-135mmのせいか,何か空の色に深みが足りません.DA レンズだったら,もっと深く映ったはず...で,またもやハイライトシャドウ.
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なかなか自然な感じで“DAブルー”が再現できました.さすがにこれほどの階調となると,画像縮小でストライプ状の階調エッジが出てしまいましたね.
最後はお遊びというか,シャドウハイライトめちゃくちゃにかけて,アンリアルなイメージを作った例.
某公園の“イサムノグチのランタン”です.普通に撮っても,なにか不思議な異空間という感じでした.(電気コードをレタッチで消してます ^^;)
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で,Elements 3 でハイライトシャドウをめちゃくちゃにかけてやると,なんとこんな感じに.
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まさにアンリアル,壁と床の明度差が消滅してしまい,夢の電脳世界の中みたいです.領域境界の“ハロー”も逆にいい効果になってます.イサムノグチのランタンのどこかとぼけたような不ぞろいな形や細い足が,またなんともいい味を醸し出してますね...
もちろんこれは,色調補正なんてものではなくて,完全にCG領域に踏み込んだものですが,こういう使い道もあるんだな...と.面白いです.
(以上,2005/11/06)
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