HDR イメージと Photomatix について
Photomatix Pro 5
HDR の老舗ソフト Photomatix Pro の次バージョン(5)の公開ベータテストが始まっています.いまベータ6まで行ってますが,最初から非常に安定したベータ版なので,私は Pro4 から完全に乗り換えてしまいました.
で,大きく変わったのが,『待望のHDR新ロジック(モード)の追加』です.“Contrast Optimizer”というものですが,シングルRAW HDR では結構効くというか,HDRっぽい厭味がそれほどなく,ハイライト・シャドウも回復して,なおかつコントラストが高い,という非常にありがたいモードです.ときどき破綻してしまうこともありますが...
あと,このバージョンから,シングルRAW からでも Exposure Fusion が選べるようになりました.したがって,シングル RAW HDR で言うと,使えるモードがこれまでの二つから一挙に四つに増えたことになります.これはうれしいですね.
下に書いたように,そのコントラストの低さから,最近は easyHDR にお株を奪われつつあった Photomatix Pro ですが,この改善強化で,少なくとも私のワークフローの中では復活を遂げた,という感じです.
参考までに,この四つのモードのそれぞれデフォルトでのHDRの効き具合を下にあげておきます.デフォルトなので,もちろんここから追い込んでいくわけです.あと断わっておくと,JPEG出力ではなく,画面のキャプチャなので,最終出力とは若干雰囲気の違っているところもありますが.
・Details Enhancer
・Contrast Optimizer
・Tone Compressor
・Exposure Fusion
(以上,2013/10/23)
easyHDR 3 と Photomatix Pro 4
easyHDR が Ver.3 となりました.といってもGUIが今風の Lightroom 風になったのと,ワークフローから“Process All”が無くなった(歓迎),64-bit版の追加という程度ですが...期待していた『HDRパラメータの新設・改良』はありませんでした.あと,プリセットがサムネール表示になったとか.こんな感じです.
センサーダストがHDR処理で強調されて見事に立ち現われていますね.で...実は私,最近,元祖 Photomatix をほとんど使っていません.その理由は,下の画面を見てください.
easyHDR と Photomatix はどちらもHDR設定はデフォルトです.このような画面キャプチャ縮小表示でもわかると思いますが,Photomatix は全体のコントラストが低く,例えば雲のディテールが全然回復していません.また全体に,なんというか弱い摺りガラスを通して見たような“紗がすみ”がかかっています.これは下にも書いていますが,非常に気になります.あと,この例ではそれほどでもありませんが,空の青が黄色っぽく転びやすいのも不満です.
このような点は,Photomatix のHDRパラメータをどう設定しても満足できるものに持っていくことは(私の腕では)できません.例えば,Digital Contrast を上げても全体に暗っぽくなるだけです.後処理として Lightroom に送って Clarity を強めてやると改善する場合がありますが,ベストではありません.
ということで,私としては初めて購入した定番HDRソフト Photomatix ですが,現在はほとんど出番が無くなっています.栄枯盛衰といいますか...ちなみに下で紹介している Dynamic-PhotoHDR と Fusion はどちらも既にアンインストールされています.理由は『使えん』からです.(^^;
(以上,2013/07/11)
easyHDR 再インストール
下に,easyHDR 2 が期待はずれだったため,アンインストールしてしまったと書きましたが,その alternative として入手した Fusion 2 の処理結果にどうも不満が出てきました.a) artifact が激しく拡大してみるとけっこうげっそりする.b) ノイズリダクション・色収差除去機能がないため,さらに後処理を必要とする.c) 処理にシャープニングが含まれているようで,しかもそれを調整・offにすることが出来ず,artifact が著しい...などです.それ以外にもこまごまとあれこれ.
で,たまたま easyHDR のアップデート(2.11.2)が出たというので試してみると,RAWノイズリダクションが導入されたとか,出力ファイルの suffix を設定できるようになったとか,けっこう魅力的です.
うーむ...と考えながら,下でこのソフトの最大の欠点と書いた複数ファイルの整列について調べてみたら,なんと私は基本的なことを見落としていたのでした.要するに,このソフトは自動で整列してくれるのではなく,“自動整列ボタン”(マニュアル整列もできる)を押して明示的に整列させなければいけなかったのでした.これをやってなかったので,合成結果が全然整列していなかったわけです.当たり前ですよね.f(^^;
ということで,easyHDR の名誉は回復され,めでたく再インストールとなりました.改めて使ってみると,さすが有料ソフトだけあって,複数ファイル整列の結果も申し分なく,色収差除去機能があったり,Fusion 2 とは大違いです.
Photomatix に対する強力な alternative としてこれから使って行きたいと思います.誤解しててごめんね > easyHDR.m(__)m
(以上,2011/08/28)
Fusion 2
easyHDR が期待はずれだったため,しばらくおとなしくしていたんですが,某海外フォーラムの書き込みで Fusion という HDR ソフトを見つけたので,試してみました.フリーソフトです.
こんな感じのもので,仕上がりの傾向としては,easyHDR と似た感じです.Photomatix でこういう仕上がりを得るのはけっこう難しいので,これはなかなかいい.
インタフェースはご覧の通り,そっけのない WINDOWSクラシック的なものです.そのへんであまり期待していなかったんですが,あれこれいじってみると,なかなかの優れものだと思われます.3枚のブラケット合成も試してみましたが,easyHDR で全滅した位置合わせはほぼ完璧でした.Photomatix に劣りません.1枚RAWからの tonemapping も,最初パラメータの意味が分からず苦労しましたが,分かってみると,なかなかの利きです.
Photomatix で不満なのは,『エッジが薄い墨がにじんだように不明瞭になる』『ハイライト部分に思いもかけない明部が現れることがある』『階調エッジ周りのハローを回避できないことがある』などですが,このフリーソフトはいずれも回避しています.
ということで,Photomatix を駆逐してしまうようなものではありませんが,その alternative として持っておくことは意味があると思い,さっそく $20 を donate させていただきました.
(以上,2011/08/12)
easyHDR 2 アンインストール
easyHDR,わずか3ヶ月の使用で,あえなくアンインストールとなってしまいました.絵がえぐいとかは,まあこのソフトの味ということでいいんですけど,たまたま,しばらくやってなかった露出ブラケット写真の本来のHDR合成をやってみて,このソフトの致命的な欠点を見つけてしまいました.もう少し購入前にちゃんと試用すべきであった...f(^^;
それは何かというと,『手持ちブラケット撮影の場合,それぞれの位置合わせが全然うまく行ってない』ということです.合成結果が2重になっていたり,ぼやけていたり,ひどい場合には“繰り返しパターン”になってしまっていることもあります.HDR合成ソフトとしては致命的なものだと思うのですが,シングルRAWの擬似HDRばかりやっていたので,見逃してました.
あとまあ,HDR合成後の微調整が,『いちいちプレビューボタンを押さないと結果が分からない』とか,必ず全画面モードで起動するとか,どうも基本的なところができてないソフトだと思います.
Photomatix にもいろいろと不満がありますが,やはりHDR合成ソフトとしては別格のものなんだな...と今更ながら痛感しています.最近公開されている 4.1βではだいぶGUIが洗練されてきています.
ちなみに先日,この手のソフトとしては有名な Topaz Adjust を試用してみましたが,ぜんぜん感動しませんでした.
ということで,しばらくは『Photomatix命』で逝く覚悟ができました.
(以上,2011/07/05)
easyHDR 2
Dynamic-Photo HDR を捨てた代わりというわけではありませんが,最近 easyHDR というソフトを見つけたので,試用の上購入してしまいました.
ご覧のとおり,Photomatix に比べて,かなり派手派手な結果を出す HDR ソフトです.チェコかポーランドだったかなの一人のプログラマが作っているものらしく,インタフェースは,洗練されているというところからは程遠いです.でもまあ,Photomatix も別の意味でださださGUIですからね.
で,HDR の雰囲気を比較してみました.まずは撮って出しの加工無し JPEG.
光が足りないということもあって,こうやって見ると信じられないほど煤けた写りです.これを Silkypix 使って,通常の写真として補正してやると;
まあこんなところでしょう,十分にきれいなんですが,湖面に山が映っているところが沈んでいて黒潰れ気味で,空に立体感が無いですね.もっとも,これが現実プラスアルファなんですけど.
ちなみに,ACDSee Pro の LightEQ 機能で輝度領域ごとに調整をかけてやると,擬似HDR画像になります.
まあ悪くないですね.実はこの機能,私がいまだに ACDSee Pro を捨ててない大きな理由だったりします.
次に,この RAW を Photomatix で tonemapping かけて HDR画像にしてやると;
なんだか物足りないですよね...もちろんセッティングはデフォルト中心に微調整したものなので,彩度をもうちょっとあげることはできます.Light strength をいじって,もっとど派手にも出来るんですが,そうするとかなり不自然さが前面に出てくるというか...そこで,easyHDR のデフォ設定付近で軽くいじってやると;
いかにも HDR 風のえぐい絵になりました.空の立体感がすごいです.えぐいとは言っても,ハローがそれほど目立たないので,これはイカンというほどではありません.Photomatix はそのへんが少し不満だったんですよね.
とりあえず,Photomatix の自然さも捨てがたいので,おそらく併用していくことになると思います.写真としては Photomatix,HDRアート?としては easyHDR だと思いますので.
(以上,2011/04/06)
Photomatix 4
このページも長らく更新していませんでしたが,HDR をやってなかったわけではなく,Single-RAW HDR によって,『日常的に当たり前』になってしまって,特記することも無かったんですよね...
Photomatix も,この間 Ver.4 にアップグレードしています.Ver.3 に比べて特に大きな進化も無く,あまり代わり映えしないのですが,マルチコアにちゃんと対応し,64-bit 版もしっかりと用意されているのがポイントかな?
ちなみに下の Dynamic-Photo HDR ですが,特にこれという作品も残さず,私の 64-bit PCから消えてしまいました.合掌.
(以上,2011/04/06)
Photomatix には特に不満もないのですが...時折なんとなく,物足りない感じがするのもたしかです.
というわけで,Dynamic-Photo HDR というソフトを買ってしまいました.
使ってみると,同じ HDR ソフトといいながら,Photomatix とは全然テイストの違う結果を吐き出すソフトです.どっちかと言うと,派手派手というか...インタフェースは, Photomatix のよく言えば質実剛健なものとは違って,なんだか軽めというか,要するに安っぽい.(^^;
まあ,日本円で5千円台と安いソフトなので,持っていて損はないだろうと.あと,3Dスムージングとか,一風変わった機能をいくつか持っているので,けっこう楽しめそう.
(以上,2008/10/22)
Photomatix,いつのまにかver.3.1β4 がリリースされていましたので,早速インストールしてみました.インタフェースが若干変わったようですが,あまり大きな違いは...
で,これは昔からあった機能ですが,RAW 1枚から HDR 写真を作る,というやつを試してみました.最近ワークフローを RAW撮影に変えたので,なにかの際にこの機能が使えれば,かなりマージンが増加します.
業務写真ですいません.おまけにカメラは K100D です.直射日光がまだらに射し込む沢の情景...デジカメがもっとも不得意なシーンかも.左が RAW で撮ったものをそのままデフォで現像したもの.右が Photomatix の RAW1枚変換機能で作った擬似?HDR写真です.
こうやって見ると,なかなかですね...こういうシーンではとにかく JPEG で白とびしやすい K100D ですが,シャドウの部分とかけっこう粘って写っていました.ハイライトのクリップ(に見えたところ)もうまく補償されています.
これだったら,仕事用途にも使い道がありそうです.なにしろ仕事用途の方こそ『露出で絶対に失敗できない』ので.
(以上,2008/09/09)
下の記事で『これでどんな HDR 写真を撮ったらいいのか』と書きましたが,Photomatix を購入して以来,HDR 写真その後バンバン撮って...いません.(^^; とは言っても,こんな用途に使っています.
いずれも,屋内写真です.その窓から外の様子が見えるというやつです.これはぱっと見には HDR!! という派手な感じではありませんが,写真撮っている人ならすぐ分かるように,ふつーに撮ったら絶対こうは写りません.HDR ならではの世界です.
左は,窓の外の凍てついた風景がこの写真の絶対条件です.右は,このエレガントな建物の内部と外装を1枚の写真に表現できました.
HDR,やっぱりなかなか面白いです.
(以上,2008/05/20)
最近,HDR (High Dynamic Range) イメージというものが非常に気になっています.自然な写真からは遠く離れたものですが,ある意味で『究極のナチュラル写真』ということで.
で,まずは手持ちのソフトで HDR イメージを作成できるものを使ってとりあえず作ってみました.K10D で 1EV ごとの5枚の露出ブラケット写真を撮り,それを材料にしました.左から,-2, -1, 0, +1, +2 EV です.左に90度回転していますが,特に意味はありません.ブラウザの表示場所をとらないようにというだけです.被写体は日常臭というか冴えませんが,夜の家の中ではこんなものしかなかったので.f(^^;
・Photoshop CS2
これはなんだかあまり HDR イメージという感じがしません.Photoshop こんな程度なのか? :-p せいぜい,シャドウを持ち上げた程度のものに見えます.まあトーンカーブとかいじればもう少しましになるんだろうけど,デフォではこんな感じだし,蛍光灯の白飛びが修正できるとはこれでは思えません.
・PhotoImpact 11
こちらは安いソフトですが,なかなかのものに見えます.蛍光灯も上の窓もどちらもはっきりと写っています.これなら...と思ったら,窓がなんだかぼけぼけに.これは,手持ちでブラケットしたために,撮影中に少し写野がずれていて,それがHDR合成の結果,ブレ風になってしまったものです.実は Photoshop でもまったく同じです.
付記)その後良く見たら,“手ブレ補正”“ずれを除去”という補正項目があり,これを行うことでほぼ問題なくなることが分かりました.なかなかじゃないですか.>PhotoImpact.
うーむ...ということで,ここはやはり HDR 専用ソフトの出番かと,Photomatix Pro というあちら物のソフトを購入してしまいました.値段は日本円で\11,000ちょっとでした.
まずは,Photomatix の Exposure Blending 機能で作ったもの.
これはなかなかです.ブレていた窓も,きれいに修正されてくっきりとしています.次に,Photomatix のウリである,Tonemapping 機能で作ってみました.
これは,言うことがありません.見事です.被写体を“肉眼で見たとき”とほぼ同等に写っています.人間の眼(と視覚処理)というのは『究極の HDR』なので,Photomatix 実に素晴らしい.
さて...これでどんな HDR 写真を撮ったらいいのか...
(以上,2008/02/06)