“すだれノイズ”


 “すだれノイズ”...って??

 K-7 発売以来,その画質についていくつかのネガティブな材料があれこれ指摘されています.その中でもメジャーなものは,VPN (Vertical Pattern Noise) に属するものでしょう.VPN は,たしか K10D の時から DPReview あたりで用いられていた言葉で,そういう意味では,K-7 特有のものとは言えません.ここで,K-7 に見られる VPN に相当するものを列挙してみると,以下の三つがあると考えられます.

1:暗部を持ち上げたときに出てくる幅の広いバンディングパターン.
2:幅の狭い,緑(あるいは赤?)系の輝線ノイズ.
3:数ピクセルの波長を持つ線状の明度差繰り返しパターン.

 1は K20D で私も遭遇しており,別ページで書いている“ダーク・ノイズ”に関連していると考えられます.2は,まだ評価が固まっていませんが,CMOS の発熱によるものという見方があります.私はまだ遭遇していません.

 で,ここで“すだれノイズ”と言っているのは,3に相当するもので,一般的に CMOS の 4ch 読み出し時のチャンネル間誤差(というか fluctuation ?)と考えられています.Nikon D200 で有名になったものなので,K-7 で出たというのは,ああやっぱりか,という気もします.DPReview で報告されていたものから勝手に切り出してみると,こんなものです.



 このパターン,ピクセル等倍でも見分けにくい場合があるので,これはクロップを2倍に拡大しています.ノイズというよりは,artifact というのが正しいみたいな.ちなみに ISO100 です.

 となると,当然,自分の K-7 ではどうなのか,気になります.同じような条件の写真(Silkypix現像)を探してクロップして2倍に拡大してみるとこんな感じです.



 ないですよね? すだれノイズなんて.きれいなものです.とりあえず安心しましたが,RAW 現像だと見えないという噂(ほんとかいな?)もあるので,RAW ファイルからフルサイズのプレビュー画像を抽出してみると,



 プレビュー画像は結構圧縮がきついので,それに起因する artifact は多少見えていますが,“すだれノイズ”に相当するものはまったくありません.

 一応の結論ですが,この artifact は個体によるもので,K-7 すべてに出るというものではなさそうです.D200 のときの記憶では,チャンネル感のゲイン差を吸収するようなソフト的調整が可能という話もあったので,初期不良というか,メインテナンス(調整)によって解消される類の問題なのではないかと考えています.もちろん,私の個体でも条件次第で出てくる可能性がゼロとは言いませんけど.

(2009/07/19)


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