PENTAX Digital Camera Utility 4


 これは Silkypix Pro4 ベースということでかなり期待していたんですけど,ダメですね...



 インタフェースは,シングル・ウィンドウになって少しは改善されたものの,そのGUIのまずさは相変わらずです.色使いといい,古臭いというのか,なんというのか...まあそういうのは好みだからどうでも良いとして,ツールパネル(の内容)がウィンドウからはみ出したとき,スクロールバーが出てこないというのはどういうことなんでしょうか? 上の色収差ツールを見て下さい.青補正のスライダが画面外にはみ出ていて,動かせません.α版以前の出来だと思います.あまりにもひどいな...

 ただ,この DCU4 の『ほんとうのダメさ加減』は,それ以外のところにあります.それが何かというと...メーカ純正の RAW 現像ソフトだというのに,NR,色収差・レンズ歪みなどの“カスタムパラメータ”がまったく反映されないということです.
 わずかに,雅やほのかなどのカスタムイメージは反映されて現像できますが,K-7 の売りであるはずの色収差・レンズ収差自動補正が,『RAW ではできない・無意味』(下注) なんですね...ホワイトバランスにCTEはありません.NR設定さえ反映されず,カメラ設定とはまったく無関係のパラメータを持つノイズリダクション・色収差ツールでそれらを個別に調整しなければいけないわけです.ちなみに Silkypix Pro4 にある『色収差範囲指定自動解析ツール』は,当然のように付いてません.
 これは,NRの場合だったらまあまあ許せますが,色収差・レンズ歪み補正については,せっかくレンズ ROM 内に補正情報を持っているのに RAW現像ではそれを捨て去ってしまっている,というのは,なんとも理解・納得しがたいことです.

 これは要するに,外部の RAW 現像エンジンを Silkypix に丸投げしてしまったことの弊害だと思います.エンジンはそれでもいいんだけど,カメラ撮影パラメータの反映については,純正ツールとしての品格を保ってほしい.早急に改善...なんて,でもおそらく無理でしょうね.ペンタデジ一眼RAWユーザとしては,ペンタには『根性入れ替えてちゃんとしたメーカ純正デジタル現像環境の開発をすぐに開始し,提供してほしい』と切に思います.

注)その後テストしてみたら,ある意味当然ですが,ハイライト・シャドウ補正のどちらも,RAW 現像ソフトでは無効であり,DCU4 でも同じでした.じゃ,RAW 撮影モードでなんでこれらが有効になっていて設定できるの?...と思ったら,要するに“カメラ内現像”のためなんですね.考えてみると不思議な話です.カメラ内にはすべての補正に対応した自前のRAW現像モジュールがちゃんと入ってる(=JPEG出しに必要なんだから当たり前)のに,RAW を外に出すと要するに単なる Silkypix エンジンで,まったく対応してないとは...はっきり言って『怠慢』としか思えないのですが.

(2009/07/02)


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