花崗岩ゼノリス(柏里)-溶融部薄片
花崗岩ゼノリスの周縁部.左上が母岩の安山岩質?脈岩.花崗岩ゼノリス中の石英粒子の周囲は融蝕状外形となり,その周囲に厚いリムを持つ.一部は分離結晶として脈岩基質中に散在する.
川村(1980)でこの構造を融蝕構造としたが,査読者の反応は最後まで『岩石学者として信じ難い』というものであった.溶融でなければ何なのだろう? それは教えてもらえなかった.実はこの短報,著者校正のゲラが届くとき私は調査で北上に行って不在になるので,大学院級友の Kt さんに校正を頼んで私は北上へ.ところが...著者校正時にも『信じられない』という意見が付いていたとか.どうしたか聞くと『そうなってるんだからしょうがない,と返事しておいた』.さすが Kt さん,ナイス.
ただ,今にしてみると,マグマ温度やゼノリスの(部分)溶融温度,さらには溶融-冷却過程などについてまじめに考えていたわけではないので,岩石屋さんの懸念も分かるような気がする.既に遅いが.