私的・北海道地質百選
『羽幌炭鉱跡』
注)このサイトは,本家・北海道地質百選で垣原康之さんが『旧羽幌炭鉱 築別坑跡』として投稿したものと一部共通しています.ここに掲載するものは, 垣原さんの投稿 とは独立したもので,すべてオリジナルのものです.
羽幌炭鉱は,Wikipedia によると 1935 年に開業し,1970 年に閉山した.羽幌炭鉱は三つのパートがあるが,ここで紹介するのは築別川沿いにある築別坑である.
南に約 6 km の三毛別川沿いの羽幌本坑の方には大きな建物(立て坑櫓?)が残っているが,ヤブが深く立ち入り禁止にもなっていて遠望しかできない状態となっている.
道道741 号線沿いには,かなり大規模なホッパー構造物がある(右写真).建物長さはおそらく 100 m 以上あり,私がこれまで見たものの中では最大級である.
撮影時,閉山から既に 35 年が経っているが,保存状態は良好である.
向かって右に回ると,ホッパーの中を覗くことができる(右下写真).もちろん危険であるので中に入ることは避けたい.
なおこの周辺には,事務所・病院・車庫・煙突(すべて,のようなもの)が残存しているが,建物の崩壊が激しく,詳細は不明である.
この炭鉱跡の “他にはない特色” は,なんと言っても炭鉱集合住宅跡であろう(右写真).
4階建ての大規模なものが2列(・4棟?)あり,要するに『団地』がそのまま残存しているのである(2011 年現在).ネットでは “廃アパート群” と表現されている場合が多く,Google Map にもそう記載されている.
人里遠く離れた深い山の中にこのような風景が突然出現するわけで,ある種の非現実感を感じてしまう.
しかしそれは錯覚というものである.20 世紀の中頃には,ここは石炭産業の繁栄が作り出した確かな『街』だった.上にあげた Wikipedia によると,居酒屋・パチンコ店・病院・映画館・プール・百貨店・ガソリンスタンドなどがあり,大変な賑わいを見せていた.おそらく築別坑だけでも数千人以上の人が住んでいたものと推察される.
そのような地質産業の盛衰を痛いほどに実感できるサイトである.
※ このサイトの見学状況については,少し(かなり?)悩ましい点がある.ホッパーや事務所跡?は公道(道道741号線)に面しているので何も問題はない.問題は,アパート跡である.
筆者がこのサイトを初めて訪れた 2006 年当時には,アパート跡周辺は完全にオープンで,クルマを停めて中を散策しながらゆっくりと見学できた.もちろん建物の内部には立ち入っていないが.
しかし,2011 年に訪れた時には,アパートの内部には落書きがあちこちに描かれており,若者の肝試し等に使われている様子だった.見ているうちに,通報があったのかそれとも巡回パトロールかは分からないが,ミニパトが現れた.静かに現場を離れたので職務質問などはされなかったのだが...それ以来,このサイトは訪れていない.
見学許可を申請しようにも,このサイトの所有者が誰なのか,どこに連絡すればよいのか,皆目不明でどうにもならない状況となっている.
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