私的・北海道地質百選
『駒ヶ岳』
注)このサイトは,本家・北海道地質百選で石井正之さんが『北海道駒ヶ岳』として投稿したものと一部共通しています.ここに掲載するものは, 石井さんの投稿 とは独立したもので,すべてオリジナルのものです.
独特な山容の駒ヶ岳と大沼・小沼の湖面,そこに浮かぶ小島...国定公園にも指定されているこの素晴らしい風景は,すべて火山活動によって作られた地質景観である(下写真).
駒ケ岳は,函館側からも見ることができる.右の写真は,駒ケ岳から南に 30 km 離れた北斗市富川から見た駒ヶ岳である.
手前は北斗市富川の市街.その向こうに開業したばかりの北海道新幹線の線路が見えている.
駒ケ岳は,運が良ければジェット旅客機の窓からも見ることもできる(右写真).
この角度では,駒ヶ岳東斜面の山体崩壊跡が明瞭で,噴火湾への流入部である出来澗崎(できまざき)も確認できる.
大沼・小沼は,凍結した白い湖面ではっきりとその外形が分かる.これらも過去の火山活動によって西(あるいは南?)からの流下河川がせき止められて湖となったものである.
大沼・小沼に浮かぶ小島(右写真)の多くは,過去の山体崩壊による “流れ山” である.
JR池田園駅から流山温泉駅にかけての陸上には,膨大な数の流れ山が存在しており,その大きさは最大で径 120 m,高さ 15 - 20 m 程度である.
駒ヶ岳は活火山であるが,現在の火口は馬の背・砂原岳に囲まれており,ふもとから見ることはできない.
剣ヶ峯(1,131 m)は,西へ急傾斜した溶岩流からなる岩峰で(右写真),駒ヶ岳の特徴的な山容のポイントである.
この溶岩は,駒ケ岳が成層火山として形成された当時の古期溶岩(数万年前?)で,駒ヶ岳溶岩と呼ばれている.
素人目には,溶岩流の安息角として急過ぎるのではないかとも感じられるが,こんなものなのだろう.
付記: 駒ヶ岳噴出物の露頭はもちろん沢山あって,その詳細なテフラ層序が調査・報告されているが,専門外の筆者にはほとんど観察の機会がなく,右の写真のようなものしか手元になかった.
駒ヶ岳東麓部の露頭で,下部の岩屑なだれ堆積物とその上位の降下軽石堆積物,それに詳細不明の不淘汰・弱成層の礫質堆積物からなっている.
これらがどのようなテフラ層序に該当するものなのか,記録もなく不明である.
大沼国定公園.1958(昭和33)年 7 月 1 日指定.
勝井義雄・鈴木建夫・曽屋龍典・吉久康樹(1989)北海道駒ヶ岳火山地質図.地質調査所,10 p.
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