私的・北海道地質百選
『ウスタイベ千畳岩』
注)このサイトは本家・北海道地質百選では,垣原康之さんが投稿しています.ここに掲載するものは,垣原さんの投稿 とは独立したもので,すべてオリジナルです.
火成岩の柱状節理の海岸風景というと,世界的には北アイルランドの Giant's Causeway が有名である.
枝幸町ウスタイベ岬の波蝕面が作る『千畳岩』は,Giant's Causeway と同じように,節理の発達する火成岩露頭の上や中を歩きながら観察できるというサイトである.
千畳岩を作っている岩石は,地質図幅『枝幸』によるとウスタイベ安山岩と呼ばれる貫入岩である.
新第三紀の溶岩中に貫入したものとされているが,同時期の火山岩(溶岩)類の一部(供給岩脈?)の可能性が高い.
岩質は斜長石安山岩であるが,水平方向および垂直に近い2方向の節理面が発達している(右下写真).
そのため,波蝕面上で見ると不完全な柱状節理状に見えているが,整った形状とは言い難い(右写真右).
一方,水平方向の節理面の間隔は比較的狭く,立面で見るとこれも不完全な板状節理状に見える(右写真左).
ウスタイベ安山岩のもう一つの特徴は,『枝幸』図幅でも書かれているように,水平に近い流理が発達する点である(右下写真).
確認はしていないが,おそらくガラス質石基と斜長石斑晶の配列による流理構造であると推察される.
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小山内 煕・三谷勝利・太田昌秀(1962)5万分の1地質図幅『枝幸』,北海道開発庁,31 p.
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