私的・北海道地質百選
『ノッカマップ岬の根室層群』
根室層群は白亜紀~古第三紀前弧海盆堆積体であるが,その一部には “未分化な” 島弧火山岩類を含んでいる.その代表的なものが,根室層群最下部層・ノッカマップ層である.
根室市ノッカマップ岬には,ノッカマップ層火山岩類の良好な露出がある.
ノッカマップ層の火山岩類は玄武岩~玄武岩質安山岩で,火山性角礫岩・溶岩が見られる(上写真).
火山性角礫岩はやや円磨しており,礫岩に移化するところもある.溶岩はやや破砕質で多角形ブロック状になっているところが多い.いくぶん発泡しているようである.
薄層理の火山砕屑岩互層も見られる(右写真).火山性砂岩は粗粒な部分もあり,正常級化構造を示しタービダイトと考えられる.単層上面は生物擾乱を受けている.
砕屑岩互層の泥岩部には,二枚貝殻破片が含まれる(右写真).顕著な稜柱層断面を示しており,Inoceramus と考えられる.
根室層群では,この最下部層ばかりではなく,花咲岬の枕状溶岩,浜中層などへの頻繁なドレライト貫入,さらに霧多布層における大規模な火山性礫岩の存在など,その全体にわたって火山活動が活発である.これは,同じ白亜紀前弧海盆堆積体ではあるが別個の収束域で形成された蝦夷層群とは決定的に異なっている点である.
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長谷川潔・三谷勝利(1959)5万分の1地質図幅『根室北部』.北海道立地下資源調査所,27 p.
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