私的・北海道地質百選
『沼田の貝化石床』

注)このサイトは本家・北海道地質百選では,古沢仁さんが投稿しています.ここに掲載するものは,垣原さんの投稿 とは独立したもので,すべて化石音痴の筆者によるオリジナルです.


化石濃集層を含む幌加尾白利加層の砂岩層.2004 年 5 月撮影.

 沼田町恵比島(えびしま)付近の幌新太刀別川(ほろにたちべつがわ)河床には,有名な貝化石産地がある.

 この地層は,渡辺・吉田(1995)によると新第三紀中新世~鮮新世の深川層群・幌加尾白利加(ほろかおしらりか)層上部層で,淘汰の悪い砂岩層からなる.
 地層は下流側にゆるく傾斜しており,貝化石濃集層(貝化石床)を挟んでいる(右写真).


 化石は,有名な Fortipecten takahashii (タカハシホタテ)の他に,Acila(キララガイ), Anadara (アカガイ)などの二枚貝と Turritella (キリガイダマシ)などの巻貝化石を含む(下写真).化石の密集度は圧巻である.
 露頭は河床面と河岸部の両方にあるので,層理に平行な面と垂直な面の両方で化石濃集層を観察できるのが,このサイトの利点となっている.



貝化石濃集層.上左:合弁し密集した二枚貝化石を多量に含む.右下がタカハシホタテ.上右:不規則な生物擾乱構造(写真上部)を含む化石床.二枚貝化石は破片状のものが多い.下左:砂岩中に散在するキリガイダマシ.下右:生痕化石(サンド・パイプ).層理面に垂直な断面を見ている.2004 年 5 月撮影.

 貝化石のほかに,このサイトでは生物擾乱構造・生痕化石も観察できる(上写真の上右・下右).砂充填のもので,不規則な形状のものと,マカロニ状のサンド・パイプが認められる.


既存の指定など

沼田町指定文化財(1991年)


所在地

沼田町 恵比島付近.

注)沼田町側の意向により正確な場所は非公開となっている.


サイトの状態:


参考文献

渡辺真人・ 吉田史郎(1995)5万分の1地質図幅『恵比島』.地質調査所,61p.


関連サイト

(なし)



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