私的・北海道地質百選
『北広島の斜交成層』

注)このサイトは本家・北海道地質百選には,横平弘さんとの共同執筆で投稿したものです.今回ここに掲載するにあたり,文章表現はすべて見直し,オリジナルとなっていますが,横平さんの書いた文章部分が未分離で残っている場合もあり得ます.ご了解ください.
剥ぎ取り標本のウェブ公開については,北広島市教育委員会から『本家・北海道地質百選』ページについて許諾を得ていますが,このサイトでは許諾を得ていません.そのため,剥ぎ取り標本そのものはここに掲載していません.リンクから本家サイトをご覧ください.


 2000 年に行われた北広島市中の沢の道路法面工事の際,見事な斜交層理を示す地層の露頭が出現した.この地層は,第四紀更新世の裏の沢層で,礫層を挟む粗粒砂層を主体とする.


北広島市中央公民館ロビーにおける地層剥ぎ取り標本の展示状況.2009 年 1 月撮影.

 この斜交成層砂層は,北広島市によって,転写法により露頭の一部が剥ぎ取り標本として採取され,北広島市中央公民館1階ロビーに展示された(右写真).

 その剥ぎ取り標本については,北広島市教育委員会の許諾を得てパノラマ合成による高解像度写真を撮影し,本家北海道地質百選ページ『野幌丘陵「裏の沢層」露頭の斜交成層』の中に 低解像度写真 を公開 している.

 その後,剥ぎ取り標本は北広島市エコミュージアムセンター知新の駅に移設され,剥ぎ取り標本作成時の記録などを加えた詳細な説明パネルと共に 展示されている.

 この斜交成層は,セット厚が 1.5 m 程度と非常に厚いのが大きな特徴で,高いエネルギー下での大量の砕屑物供給によって形成されたことを示す.浅海域での bidirectional な潮汐流あるいは暴浪時の波の営力によって形成されたと考えられる.
 堆積年代は,軽石質砂層中の軽石に含まれるジルコン粒子の FT 年代測定により,およそ 140 万年前と決定されている(横平,2002).


斜交層理露頭の前に立てられた説明看板.2009 年 12 月撮影.

 斜交成層の露頭を含む法面は,現在は道路工事によって改変され,さらに植生に完全に覆われていて観察はできず,その正確な位置も不明となっている.しかし,北広島市による説明看板『北広島市の大規模斜交層理』が,その近傍の道路脇に設置されている(右写真).


剥ぎ取り標本作成前のオリジナル露頭の写真(故佐々木巽教授提供)と,剥ぎ取り標本の作成範囲(推定).

 右の写真は,故佐々木巽教授(北海道教育大学釧路校)によって 2002 年 9 月に撮影されたもので,横平弘氏を経由して提供された斜交成層露頭写真である.
 転写によって剥ぎ取り標本は露頭裏面になっているので,露頭写真の左右を反転している.おそらく,右が道路側・南側で,奥が大曲方面.
 本家北海道地質百選ページ『野幌丘陵「裏の沢層」露頭の斜交成層』の中に公開された 低解像度写真 を原版から編集したものである.
 発見当時の状況を示すカラー写真資料として公開されているものは他になく,非常に貴重な資料と言える.


既存の指定など

北広島市指定文化財第2号.2009(平成21)年 9 月 1 日指定.


所在地

北広島市 中の沢.


サイトの状態:


参考文献

横平 弘,2002,道都大学札幌キャンパス付近に出現したクロスラミナ構造,道都大学紀要・美術学部,28号,p.71-75.

北川芳男,2003,北広島でみられるクロスラミナ層,文化情報,第255号,p.2,北海道文化財保護協会.


関連サイト

(なし)



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