私的・北海道地質百選
『川流布の K-P 境界』

 恐竜をはじめとした白亜紀末の大量絶滅は,メキシコ・ユカタン半島付近に巨大隕石(小惑星)が衝突したためと考えられている.世界各地の白亜紀-古第三紀(Cretaceous-Paleogene, K-P)境界から特徴的な黒色粘土層が見いだされており,小惑星衝突を証拠づけるものとされている.

 浦幌町川流布(かわるっぷ)川支流の茂川流布(もかわるっぷ)沢に露出する根室層群から発見された黒色粘土層は,国内で唯一の K-P 境界層とされている.


K-P 境界露頭への道案内.おそらく森林管理署設置のもの.案内板は旧表記の “K-T境界” となっている.2010 年 9 月撮影.

 この場所には案内看板が設置され,簡易駐車場も整備されている(上写真)が,立ち入りには森林管理署の許可が必要である.左:手前に見学者用駐車場がある.その向こうの茂川流布を渡る橋の向こうの左への案内表示に従う.右:やぶの中を歩いて川岸に出ると,位置を示す案内板が立っている.


境界層露頭.案内板の下の大転石が目印である.2010 年 9 月撮影.
大転石の左下部から左下方に伸びる黒色部が K-P 境界粘土層.2010 年 9 月撮影.
K-P 境界粘土層のクローズアップ.上下層準は灰色シルト層.粘土層は膨縮している.2010 年 9 月撮影.

 右写真が,茂川流布沢の K-P 境界層露頭である.沖積土砂に囲まれており,関係者以外は案内板無しでは到底到達できないと思われる.案内板の下の大転石が目印である.

 しかし,露頭の状況は変わり得る.この見学時には,境界層は半分程度しか露出しておらず,スコップで掘り出して川から水をビニール袋で運び,かけ流す必要があった.

 この K-P 境界露頭は,根室層群活平(かつひら)層中にあり(右下写真),この露頭から剥ぎ取られた標本が足寄動物化石博物館に 展示 されている.

 境界粘土層は黒色で厚さ 5 ~ 10 cm 程度,おそらく構造変形のため,やや膨縮している(右下写真).粘土層の周囲は灰色のシルト層で,K-P 境界の上下で特に岩相の変化は認められない.

 この境界粘土層からは,地球外天体の落下を示唆するイリジウム異常が検出されており,浮遊性有孔虫化石の研究からも,K-P 境界層と認定されているものである(Kaiho and Saito,1986;斎藤・海保,1986).


既存の指定など

(なし)


所在地

浦幌町 川流布川支流 茂川流布沢.


サイトの状態:


参考文献

Kaiho, K. and Saito, T., 1986, Terminal Cretaceous sedimentary sequence recognized in the Northernmost Japan based on planktonic foraminiferal evidence. Proc. Japan Acad., Ser.B, 62, 145-148.

齋藤常正・海保邦夫,1986,白亜紀-第三紀(C-T)境界と恐竜の絶滅.月刊地球,8,192-202.


関連サイト

(なし)



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