私的・北海道地質百選
『浅海層の大露頭』

※ このサイトは 2015 年に見学したものであるが,『ブログ等では場所を公開しないで欲しい』という担当部署の意向に従いたい.
また前例に従って,地質体が特定できるようなキーワードも入れないこととする.
と言っても,某ジオパークのジオサイトの一つにもなっており,学会巡検等でも良く使われるところである.つまり,見る人が見ればすぐにどこの何なのかは分かるわけであるが.


 ここで紹介するのは,この地層のシーケンス層序学研究の,ある意味シンボルともいえる露頭である.この観点が出現した当時,筆者のような頭の古い地質屋には当初は半信半疑なことであった.海盆堆積体のはずなのに,浅海成層どころか河川成まで含むって...本当か(?!)と.もちろん本当であった.


露頭全景.2015 年 6 月撮影.

このサイトの典型的な岩相,厚層砂岩とシルト岩泥岩の互層.ここがシーケンス境界となっている.2015 年 6 月撮影.

 この露頭の基本的な岩相は比較的淘汰の良い砂岩とシルト岩・泥岩の互層で,礫岩層が挟在する(右写真).

 砂岩部に “穴” が空いているのは,おそらく石灰質なもので,貝化石等が関係している可能性があるが確認していない.だいぶ前のことであるが,このサイトの入り口付近の農家の軒先に飾られていた砂岩塊の中に巨大なイノセラムス化石(60 cm はあった)が入っているのを見て仰天した記憶がある.

 下に述べるように,この写真の中にシーケンス境界がある.写真右側の砂岩は上方粗粒化するシーケンスの最上部で,写真左に見える泥質互層が次のシーケンスの最下部にあたる.


海成砂岩中のストーム成礫岩.2015 年 6 月撮影.
上:ストーム成礫岩の転石.2015 年 6 月撮影.下:上の転石を採取し切断サンプルにしたもの.梅村祐介氏作成.

 このサイトでは礫岩の出現規模は非常に低いが,その産状は二つある.

 一つは,海成の厚層砂岩層中にレンズ状に含まれるものである(右写真).量は少ないが,二枚貝化石破片を含み,おそらくストーム成礫岩と考えられる.

 この礫岩を採取することはできないが,露頭前になぜか転がっていた転石(右下写真)を採取することができた.
 これを研究室に持ち帰り切断・研磨してみると,この浅海成礫岩の特徴がはっきりと分かる(右下写真).

 基質は砂質で礫の円磨度は高い.礫種は安山岩質(~珪長質)火山岩類が大部分を占めるが,赤色チャートとやや片理を生じた珪質(凝灰質)泥岩を含む.供給地質体は,近傍の火山弧+古期付加体といったところであろう.

 その他に,laminar な厚い殻構造を持った二枚貝化石(カキ?)破片も含まれている(右下写真下の左下隅).こういう礫岩はどこかで見たような気がする.

上位シーケンス最下部の海進性礫岩.2015 年 6 月撮影.

 本サイトにおける礫岩のもう一つの産状は,厚層砂岩層の上を薄く平板状に覆うものである(右写真).

 某巡検案内書などを参考にすると,この礫岩は海水準が上昇して(海岸線が前進して)行くときに取り残された海進ラグで,海進性礫岩と呼ばれているもののようである.したがって,その底面がラビンメント(ravinement)面ということになる.


既存の指定など

(なし)


所在地

(非公開)


サイトの状態:


参考文献

(某巡検案内書)


関連サイト

(なし)



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