私的・北海道地質百選
『芦別三段の滝』

三段の滝の説明看板.遊歩道にも砂岩が露出している.2009 年 7 月撮影.
芦別川増水時の三段の滝.水の流れ落ちる轟音は怖いほどである.2009 年 7 月撮影.
癒着した粗粒砂岩互層の露頭.遊歩道から撮影.2009 年 7 月撮影.

 三笠から芦別川上流を通り,道道を経由して富良野に抜ける国道452号線は,富良野への近道として近年交通量が多くなっているが,その途中に唯一の駐車・トイレスペースである三段の滝駐車場がある.

 駐車場の下の遊歩道の入り口には,芦別市の設置した説明看板が立っている(右写真).残念ながら地質に関する説明はない.
 遊歩道を芦別川の方に降りていくと,川の中に明灰色の砂岩の広い露出が見えてくる.水量にもよるが,その段差を轟々と川が流れ落ちている.三段の滝である(右写真).

 遊歩道の柵外に立ち入ることはできないが,遊歩道やその脇に砂岩が露出しているので,その粗粒な岩相を間近に観察することができる.

 この砂岩は,蝦夷層群羽幌川層月見砂岩部層(上部白亜系)に属するもので,珪長質の火山性タービダイト砂岩とされている(Takashima et al., 2004).遠目に観察する限りでは,砂岩層は癒着しており,泥質のはさみはほとんど認められない(右写真).層理・葉理面がうねっているように見えるところもある.

 泥質岩の卓越するいわゆる “蝦夷層群上部” では,特異な粗粒岩相ともいえる.
 Takashima et al. (2004) はこの砂岩部層の少なくとも上部斜交層理部の堆積環境を下部外浜~内側陸棚としている.それを考慮すると,三段の滝の砂岩層の中に HCS 砂岩 (Hummocky Cross-stratified Sandstone) =ストーム堆積物が含まれている可能性も当然考えられるが,三段の滝砂岩部層に関する詳しい堆積学的研究報告は今のところ見つからず,不明である.


既存の指定など

(なし)


所在地

芦別市 芦別川上流.


サイトの状態:


参考文献

Takashima, R., Kawabe, F., Nishi, H., Moriya, K., Wani, R. and Ando, H., 2004, Geology and stratigraphy of forearc basin sediments in Hokkaido, Japan: Cretaceous environmental events on the Northwest Pacific margin. Cretaceous Research, 25, 365-390.


関連サイト

(なし)



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