私的・北海道地質百選
『空知川露頭炭』
赤平市茂尻の空知川堤防上には,北海道開発局が設置した右写真のような非常に凝った面白いデザインの説明看板が立っている.
その説明文によると,堤防下の空知川の川岸に石炭の露頭があり,北海道探検で有名な松浦武四郎が1857(安政4)年に発見したもので,その後の空知炭田の端緒となったものとされている.
しかしこの石炭露頭は,空知川沿いの河蝕崖(攻撃斜面側)にあるので,看板の立っている西側(左岸)からは辛うじて横から見えるだけで,その実態を確認することは難しく,斜面は急な崖になっていて河岸に下りることもできない.そこで対岸の百戸町側の農道から回り込み河川敷に出ると,露頭炭を真正面に見ることができる(下写真).
この石炭露頭を含む地層は,古第三系始新統に属する赤平(あかびら)層で,泥岩・砂岩の互層(右写真上)の中に厚さ 数 m 以上の石炭層を挟んでいる.
石炭層は厚さ 5 - 7 m 程度と思われるが,遠望では正確なところは分からず,石炭層の下底は露出していないので全体の厚さは不明である.
正面から見ると石炭層の部分は上に盛り上がった形をしており,この部分を軸とする背斜を形成しているように見える.しかし,傾斜方向と露頭の形状から来る見かけの形状である可能性もあり,はっきりしない.
石炭層の右側では地層は左に急傾斜しており,両者の間に向斜軸があるようにも見えるが,石炭層はその部分には露出していない.
周囲の互層の傾斜は変化に富んでおり,必ずしも単純な背斜向斜構造とはなっていない.褶曲が激しく,かつ褶曲軸と露頭面との関係が複雑なためではないかと考えられる.
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