私的・北海道地質百選
『黒松内層の大露頭』
黒松内の市街地から朱太川に沿って道道を倶知安方面に進むと,賀老橋の手前の左側に歌才ブナ林駐車公園がある.ここにクルマを止めると,朱太川を挟んだ対岸に,新第三系鮮新統黒松内層の大露頭が見える(右写真).ただし,駐車場の外側のジャガイモ畑はシスト線虫防護のため立ち入りは硬く禁じられているので,川岸の露頭まで接近することはできない.
この露頭は黒松内層の模式地となっており(長尾・佐々,1933),シルト岩・砂岩・凝灰岩の互層からなる.
地層は全体として右(東)側にゆるく傾斜しているが,露頭右側ではほとんど水平になっており,さらに右側の賀老橋付近に向斜軸があるらしい.
続成の進んだケイソウ質シルト岩と思われる硬質の薄層・コンクリーション集中層を何枚か挟んでいる(右写真).
山岸(1984)では,この地層は『尻別川層』とされており,黒松内層との対比は言及されていない.
露頭中央の最上部には,傾斜した黒松内層の上に不整合で載る水平な礫層が認められる.段丘礫層あるいは瀬棚相当層の可能性があるが,その詳細は明らかではない.
なお駐車場には,この周辺の施設やブナ自生北限地帯などの説明がある(右下写真).駐車公園から向かい側の散策路を歩いていくと,天然記念物北限のブナ林がある.
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長尾 巧・佐々保雄(1933)北海道西南部の新生代層と最近の地史(1).地質学雑誌40, 555-577.
山岸宏光(1984)5万分の1地質図幅『歌棄』説明書.北海道立地下資源調査所,43 p.
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