私的・北海道地質百選
『幌加内オフィオライト』
『幌加内オフィオライト』は,北海道では初めて認識されたオフィオライトである(Asahina and Komatsu, 1979;石塚,1980).
オフィオライト(ophiolite)は,下位から超苦鉄質岩・ハンレイ岩類・玄武岩質火山岩・海洋性堆積岩類(チャートなど)の順に積み重なった層序を示し,海洋プレート断面を現わしていると考えられている.
幌加内オフィオライトは神居古潭低温高圧型付加変成岩類の上に衝上している.またオフィオライトの上位には,ジュラ紀新世~白亜紀古世の半深海性~前弧海盆堆積体である空知・蝦夷層群が整合的に重なっているとされる.
士別市犬牛別川上流部には,幌加内オフィオライトの分布が見られる.しかし,温根別ダムの建設により川沿い露頭が水没し,ダム湖に沿った道沿いの露頭も風化・被覆が激しく,オフィオライトの岩相や層序の全体像を観察することは現在では難しい.
※ ページ・ヘッダーのサムネールは,渇水期の湖面低下で出現したダム建設以前あるいは建設中の構造物遺構.詳細は不明.
ダム堤体付近の右岸道沿いには超苦鉄質岩体の良好な露出が見られる(上写真).これは,幌加内オフィオライト下部を構成する超苦鉄質岩のうち,北部岩体と呼ばれるものの南東端にあたる.超苦鉄質岩の多くは塊状であるが,部分的に,北西-南東走向で 60 度程度北東傾斜の,明瞭な層状構造を示す部分がある(右写真).
ダム堤体左岸側の林道には縞状角閃岩の転石~半露出が見られ,幌加内オフィオライトを画する “Mixture Zone” 中のブロックと考えられる.
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Asahina, T. and Komatsu, M., 1979, The Horokanai ophiolitic complex in the Kamuikotan tectonic belt, Hokkaido, Japan. Jour.Geol.Soc.Japan, 85, 317-330.
石塚英男,1980,北海道,神居古潭構造帯に分布する幌加内オフィオライトの地質.地質雑,86,119 - 134.
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