私的・北海道地質百選
『江丹別峠の青色片岩』
神居古潭帯は,北海道(ひいては日本列島)の代表的な低温高圧型付加変成帯である.低温高圧型変成岩というと,Na角閃石を晶出した青色片岩が真っ先に思い浮かぶが,実際にそれを手近な野外露頭で観察できる場所は,実はほとんどない.
旭川市江丹別から幌加内町に抜ける道道を登り,江丹別峠を過ぎて少し降りると,道路の右側にロックネットに覆われた露頭がある(上写真).
これが,世界的な青色片岩の露頭である(鈴木,1932;柴草,1974など).榊原ほか(1997)によると,この青色片岩は,神居古潭変成岩類の中でも最上位の構造ユニットである幌加内ユニットに属している.
露頭表面は風化しているので,弱い片理が見える程度であるが,ハンマーで割ってみると,特徴的な青い色調が現れる(右写真).再結晶度がよく非常に粗粒な青色片岩のサンプルが採れる貴重な場所である.
※ なお,ヘッダーのサムネール画像は青色片岩の研磨標本で,北大総合博物館所蔵サンプル(K-0003).新井田清信・土屋 篁・桑島俊昭氏採取.写真撮影:土屋 篁.長さは約20 cm.緑レン石・緑泥石が濃集する黄緑色のレイヤーと,Na角閃石の濃集する鮮やかな青色のレイヤーが特徴的である.苦鉄質火山岩が源岩と考えられる.
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鈴木 醇,1932,北海道における藍閃石片岩の原産地.地質雑,39, 132-137.
柴草英彦,1974,神居古潭変成帯幌加内地域の藍閃石片岩類.地質雑,80,341-353.
榊原正幸・安元和己・池田倫冶・太田 努,2007,深部付加体としての神居古潭変成岩類の源岩層序・付加プロセス・変形変成作用および流体-岩石相互作用.日本地質学会第114年学術大会(札幌)見学旅行案内書,103-118.
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