SFD 層





私はどろどろの未固結堆積物が好きです.(^^; というか...昔々どろどろ“だった”ブツとその現象が地層中に固定された構造が好きだというか...

ここで紹介する SFD (Sediment Flow & Deformation) 層は,その顛末を『追憶の南部北上』カテゴリーで紹介した宮城県雄勝町荒海岸の三畳系大沢層からの魚竜発見までさかのぼります.発見自体は1982年のことでしたが,その後発掘と復元を担当した箕浦名知男先生と一緒に,その産地に何度かご一緒する機会がありました.

で...化石発見場所を一生懸命観察するみんなを尻目に,私の眼は,海岸に散在する巨大転石中のこの異様なものに釘付けになっていたのでした.“なんなんだぁ?これはぁ...?!”.でも他の方は何も関心を示してくれず,私は孤独でした.:-p

簡単に言うと,マッド・クラスト集合層です.しかもその厚さに比べて,マッド・クラストの大きさが異常に大きく,しかも密度が高い.普通だったら,リップアップクラストと見るところですが,こんな薄さでデブリフローが保持され得るんだろうか...強く疑問でした.

マッド・クラスト層の下に見える厚さ数cmの黒い層は『砂質シルト貫入層(シル)』です.



右の別の写真で見ると,この黒い層が下位の葉理シルト岩の葉理をきれいにカットしている貫入層であることが分かります.

こういうものが“堆積層”であるはずがない...それが私の着眼点でした.第一の直感としては『深層地すべり体の下底すべり面』ではないか?というものでした.この直感というか思いつきはその後,研究の過程で廃棄せざるを得なくなってしまいましたが.

幸いに,箕浦研究室MCで魚竜産出層準を研究テーマにしていた川上源太郎さん(現北海道立地質研究所)が,この現象に興味を示してくれ,以降の研究は川上さんと私の共同研究ということになっていきました.

(以下,続く)

2009/11/05 12:16:26


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