春採太郎再び
3年ぶりに,釧路興津海岸の春採太郎を再訪してきました.前回(2008年6月)は濃霧に覆われてまったく見通しが利かず,突然目の前に春採太郎が現れた,という感じだったので,再挑戦というわけです.
左の写真は,アプローチ入り口の小さな岬から回り込んだところから撮ったものですが,遠くの露頭に白々と春採太郎が既に見えています.前回はこういう景色になっているとは,まったく分かりませんでした.まったく地質屋というのは変な人種で,こういう露頭・景色を前にするとしみじみと癒されます.
なおこの写真見てもお分かりのように,露頭の下部はノッチになっていて,その前は海蝕台です.岬の突端を回りこむときもそうですが,大潮の干潮時で,しかも波が高くない,という条件が揃わないと,とてもここを通ってアプローチすることは出来ません.今回は,これ以上ないと言う好条件でした.
ということで,念願の春採太郎の全貌をくっきりと確認することが出来ました.前回は露頭上部はほとんど濃霧に隠されて見えず,撮った写真もまったくコントラストがなく,レタッチソフトで無理やりマスキングして見られるように加工したものでした.
こういう自然のくっきりとした露頭見ると,心が洗われますね.(^^;
これも,前回はもちろん気づきませんでしたが,春採太郎の左側の露頭上部に,下方尖滅する幅15cm程度の小砂岩脈が見えています.
ちなみに蛇足な話ですが,こんな海岸なので,調査中に巨大地震でも発生して津波が来たら逃げるところは一見ありません.あと,私の場合はそんなことはないだろうだけど,調査に夢中になってはっと気づいたら満潮に向かって潮が押し寄せていた...なんてことも.
しかし,ただ一箇所,生き残る道があります.上の写真で,春採太郎の向こう側に,少し湾入したところがあって,オレンジ色の露頭面が見えていますが,これは釧路炭坑の坑内排水をしているところだと思います.ここの層理面に棚みたいになっているところがあって,そこをえいやっと懸垂で登りきれば,あとは草付きの斜面なので,必死になって駆け上がれば...
2011/05/24 12:41:58