砂岩脈の内部構造
砂岩脈の内部構造は,その貫入メカニズムを考える上で非常に重要な点ですが,これがなかなか...難しい.
上の写真は蝦夷層群中の砂岩脈(夕張市白金沢)ですが,たまたま砂岩脈壁面が露頭面に準平行で,そこに現れた岩脈に平行な面上にリップルマークのような規則的な凹凸が見えています.これは,当時(ていつのことか?)M論で蝦夷層群の砂岩脈に注目していた鳴島勤さんが見つけたものです.
で,この砂岩脈を採取して岩脈とリップル状構造に対して垂直な断面を切ってみると,こうなっています.なんだか wavy なラミナ状のものが見えますが,イマイチはっきりしません.真ん中の黒いスポットは小さな泥クラストです.
そこで,その後私の研究室に移行した林郁也君に,卒論でこのサンプルの soft X-ray 写真を撮ってもらいました.環境研の装置を使わせてもらったものですが,けっこう苦労したようです.その結果はこんな感じ.
上のサンプル写真とは裏表が逆になっています.研磨面でははっきりしなかった wavy な構造が実に良く見えています.この上面が ripple 状構造が見えていた面です.
真ん中の黒いスポットはサンプルにも見えている泥クラストですが,その左下などに縁が黒くて中が明るく見える不規則な形のものが見えますが,おそらく生痕でしょう.生痕? 砂岩脈の中に? 生痕ごと貫入してきたものであれば,rigid plug のようになっていたんでしょうか?
Ripple 状構造の解釈としては,貫入する砂粒子+流体の中に乱流が生じていて,それによって出来た,ということになるのかな...? 春採太郎の中にも規模の大きい swirl 構造とでもいうべき構造が見えるので,そういう可能性があると思います.
砂岩脈にリップル状構造があるというのは海外の論文でも報告されていますが,これは,渡島帯付加体海溝充填堆積物中の砂岩脈に見られるものです.こちらは何しろ付加体なので,層平行伸長変形によるムリオン(mullion)構造の出来かけという可能性もありますが...
2011/01/21 11:31:54