SFD層-その2





この SFD層...その後の川上さんの粘りで,とりあえず日本語論文として地質学雑誌に投稿しました.しかし,その反応というかウケが(担当エディタ某M氏)良くなかったというか...ちょうど川上さんも穂別博物館を退職してコンサル会社に就職していた時期ということもあって,修正作業が進捗せず,3ヶ月ルール適用で投稿取り下げということになってしまいました.

もうそれで終わりかとあきらめかけていたところ,川上さんが会社を退職して私の研究室でDCに入学することになり,今度は海外雑誌への英文論文(Kawakami and Kawamura, 2002)として復活したわけです.発見から足掛け20年.長い道のりでしたね.

いま思い出してみても,この投稿作業は苦しいものでした.ただでさえ英語が不得意な私ですので...くじけそうになったときも.結果としては,二度目の修正投稿で論文構成を(記載主体形式から)大幅に変更したことで,エディタ・差読者にも認めてもらい,良い論文になったと(共著者として)自負しています.

このとき,議論の項に“Why not debri flows?”という1節を入れたのが記憶に強く残っています.それがまさにポイントであったわけで...上の写真はその証拠の一つとしてあげたもので,SFD層が上位の母岩シルト層を“下から”侵食している,というものです.ちょうど真ん中に見えるゆるい凹凸のある面が上方侵食面です.で,SFD層そのものは,当初考えたような下底すべり面ではなく,層平行な“貫入シル”ということになってしまいました.

いまにして考えると,内部流動でこのような見事な葉理を作るにはどういう条件が必要なのか,とかいろいろと不明な点がありますが,まあ一つの到達点として誇れる気分でいます.なにしろ海岸の転石から始まった話ですからね...



ついでなので,Kawakami and Kawamura (2002) に掲載した SFD層形成スキームのカラー版を右にあげておきます.川上さんの筆になるものですが,分かりやすいですね.うまく描けてると思います.

願わくば,ここで到達したところからもう一歩先へ行ってみたかったんですが...それは私の力不足でダメでした.それについても,このカテゴリーで多少紹介したいと考えています.

2009/11/05 13:16:48


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